独裁者を目指すプーチン　（その1）

■■ 2022/05/04 ■■ 兵頭正俊の優しさ出前 ～３分でマスメディアとは違ったステージに招待します ～ ■■■■■■■■■■■■■■ 内容のレベル:中高級者向け発行人 ：兵頭正俊登録解除 はここから http://bit.ly/AvYMkY　 ━━━━━━━━━━ 　独裁者を目指すプーチン　（その1） ━━━━━━━━━━ 今日はスーザン・B・グラッサーの「プーチンとロシア 帝国 ―― なぜ帝国的独裁者を目指すのか」（『Foreign Affairs Report』2019 NO.10）を読み、プーチンの現在 を考えて見る。 （スーザン・B・グラッサーは、ニューヨーカー誌スタ ッフライターで、ポリティコのエディター。フォーリ ン・ポリシー誌の編集長、ワシントン・ポストのモスク ワ共同支局長などを経て現職） さて、今日はこんなツイートから出発した。 「立憲の古さ、状況から乖離して潰れていく政党の現実 がよく現れている。これほど昔の左翼らしく憲法にしが みついていては国民は守れない。国民を守るためには憲 法を変えるという視点を持たねば。立憲を変えるいい機 会だったのに。旧左翼として滅んでいくがよい」 このわたしのツイートは、次の辻本清美のツイートを読 んだあとのリツイートだった。 辻本清美 「私の政治信念の一丁目一番地は、憲法を守ること。憲 法9条への自衛隊明記や緊急事態条項新設を盛り込んだ 自民党改憲案には明確に反対。特にロシアのウクライナ への侵攻など、国際情勢が不安定な時期だからこそ、改 憲ありきの憲法論議は自重すべき。#憲法記念日」 （引用終わり） さて、今日のメルマガはスーザン・B・グラッサーの 「プーチンとロシア帝国 ――なぜ帝国的独裁者を目指 すのか」（2019年10月号掲載論文）を叩き台として、 プーチンの現在を考えて見る。 スーザン・B・グラッサーは、アメリカのジャーナリス ト。ニューヨーカー誌スタッフライターで、ポリティコ のエディター。フォーリン・ポリシー誌の編集長、ワシ ントン・ポストのモスクワ共同支局長などを経て現職。 スーザン・B・グラッサーは書いていた。 「＜プーチンに対する誤解＞ 今日、プーチンは20年前のようなミステリー、あるい は謎の人ではない。もっとも顕著なのは、われわれの知 るところからみて、彼が非常に多くの考えをめぐらして いることだ。プーチンに関して、われわれが間違いを犯 す理由は数多くある。アウトサイダーは、これまで常に ロシアを自分の立場から判断してきたし、特にアメリカ 人は他国を理解する上で短絡的だった。例えば、プーチ ンが、国をどこに向かわせようとしているかよりも、彼 がほぼ無名の存在から指導者に台頭したことにより大き な関心をよせた、こうして多くの人が、手遅れになるま で、プーチンのことを真剣に理解しようとしないか、あ りのままを受け入れようとしなかった。あるいは、「何 をしてもたいしたことはない」と相手にしなかった。 実際、オバマはその影響力を過小評価して、ロシアのこ とを「地域国家」と呼んだ。欧米の政策決定者が、プー チンの嘘を信じることも多かった。憲法で定められた2 期目以降も、一時的に首相ポストに退いて、実質的な権 力を維持することを決める数カ月、ブッシュ政権の高官 が私に語ったことが忘れられない。「そうはならない」 と彼は言った。なぜと問い返すと、「プーチンが、私の 目をみて、そのようなことはしないと言ったからだ」と 答えた。 全般的に、「プーチンのロシア」に関するアメリカの解 釈は モスクワで何が起きているかよりも、ワシントン の政治に左右されている。冷戦の戦士たちは、過去を思 い起こし、「ソビエト連邦2・0」を青写真にした。一 方、ブッシュとオバマ、そして現在のトランプも、「ロ シアが欧米にとってのプラグマティックなパートナーに なること」を願った。プーチンがアグレッシブなリビジ ョニストであることのエビデンスが出そろい、ロシアの ライバルは、モスクワを犠牲にすることでしか成功を手 にできないゼロサム世界にあることが分かってきても、 「パートナーとしてのロシア」という願いと夢を捨てな かった。