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独裁者を目指すプーチン (その2)

兵頭正俊の優しさ出前
  • 2022/05/04
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■■ 2022/05/04 ■■ 兵頭正俊の優しさ出前 ~3分でマスメディアとは違ったステージに招待します ~ ■■■■■■■■■■■■■■ 内容のレベル:中高級者向け発行人 :兵頭正俊登録解除 はここから http://bit.ly/AvYMkY  ━━━━━━━━━━  独裁者を目指すプーチン (その2) ━━━━━━━━━━ (今回のメルマガは二号で終了します) スーザン・B・グラッサーは書いていた。 「ソビエト崩壊後、アメリカは「残された唯一の超大 国」、それも高潔な超大国という自己イメージに浸りき っていた。プーチンそして彼が何を代弁しているかを理 解するには、これまでよりも、現在の方が分かりやすい だろう。フリーダムハウスによれば、この13年にわたっ て世界の民主体制の多くが毎年倒されている。プーチン が権力を掌握した当時は、世界は民主化へ向かうと考え られていた。彼は世界の流れから取り残された周辺にい たし、ロシアは衰退途上の国だった。評論家はロシアの ことを「核武装したブルキナファソ」とさえ呼んだ。秩 序を回復する彼のプロジェクトは必要だったし、少なく とも、それは、われわれにとって大きな脅威ではなかっ た。 2001年9月9日、私は数十名の在モスクワのジャーナリ ストともに、隣国ベラルーシを訪問した。アレクサンド ル・ルカシェンコが大統領ポストに留まろうとする不正 選挙の実態を知ることが目的だった。われわれはこのス トーリーを「冷戦の遺産」として扱った。ヘッドライン は「ヨーロッパ最後の独裁者」、「生き続けるソビエト 期のアナクロニズム」とされた。20年後にルカシェン コとプーチンが支配者であり続けること、その後、ヨー ロッパの独裁者クラブに2人以外に何人参加することに なるかなど、当時のわれわれは知るよしもなかった。 「考えられないとしても、それが起きないという保証は ないこと」を歴史はわれわれに教えている。これが、わ れわれがプーチンのことを誤解した重要な理由の一つで あり、われわれがいまも彼を誤解することが多いのもこ のためだ。プーチンは、スターリンのクレムリンにおけ る最長在任記録までわずか9年を残すのみで、この記録 を簡単に塗り替えるかもしれない。しかし、ロシアを誤 解してきた欧米の長い歴史からみれば、これも、彼の大 統領へのあり得ない道筋同様に、そうなると運命付けら れているわけではない。これまで彼のことを誤解し過小 評価してきたかもしれない。だからといって、いまわれ われが間違って彼を過大評価しないという保証にはなら ない。 警告のサインは出そろっている。ロシア経済は縮小し、 国内的な衰退に目が向けられないように騒々しいナショ ナリズムが鼓舞され、内向きのエリートは獲物の分け前 をめぐって対立し、その権力独占状況は当然視されてい る。プーチンはこれに対処していくだろうか。それは誰 にも分からない。だが、停滞というブレジネフの亡霊 が、プーチンのクレムリンでいまも徘徊している」 (引用終わり) 多くの誤解にプーチンは囲繞されている。しかし、「20 年前のようなミステリー、あるいは謎の人ではない」。 それはかれの力が確実に伸びたことと関係している。ロ シア自体の世界への影響力が伸びた。 ロシア自体がユニークな謎の国、プーチンその人がミス テリアスな指導者では済まなくなったのである。 アメリカの関心の寄せ方はユニークで、プーチンの破格 の上昇ぶりに関心を寄せた。 オバマはプーチンの影響力を過小評価して、ロシアのこ とを「地域国家」と呼んだ。いかにもオバマらしい。反 米の国家とその指導者は矮小化されるのである。 「プーチンのロシア」はあくまでもアメリカ中心に、ア メリカ支配によって立てられた。したがってモスクワで 何が起きているかよりも、ワシントンの政治を中軸に立 てられた。ブッシュもオバマもトランプも、「ロシアが 欧米にとってのプラグマティックなパートナーになるこ と」を願った。 アメリカはあくまでもアメリカ中心に世界を立て、「パ ートナーとしてのロシア」という願いと夢を捨てなかっ た。 ここに欧米のふたつの限界が露呈していた。 1 欧米人は、ロシアや中国といった権威主義国家が、ア メリカとほぼ互角の条件で競い合うようになるとは想定 していなかった。 2 ソビエト崩壊後、アメリカは「残された唯一の超大 国」として、それも高潔な超大国という自己イメージに 浸りきっていた。プーチンは世界の流れから取り残され た周辺にいたし、ロシアは衰退途上の国だった。ロシア は、大きな脅威ではなかったのである。 現在、プーチンは様々な困難に囲まれている。 1 ロシア経済の縮小、国内的な衰退、騒々しいナショナ リズムの鼓舞。 2 ロシア国内のエリートたちは獲物の分け前をめぐって 対立し、その権力独占状況は当然視されている。 3 停滞というブレジネフの亡霊が、プーチンのクレムリ ンでいまも徘徊している。 この3点とプーチンは闘っていかねばならない。

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