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すわ中銀バブル崩壊か~追証相場が市場にもたらす恐るべき負のスパイラル

今市的視点 IMAICHI POV
  • 2022/05/15
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********************************************************   今市的視点 IMAICHI POINT OF VIEW   金融、経済、政治、企業といった領域でのニュースや   トピックスをテーマに独自の視点で鋭く切り込みます   ツイートアカウント @imaichitaro   よろしかったらフォローもお願いします。      5月15日号 ********************************************************** すわ中銀バブル崩壊か~追証相場が市場にもたらす恐るべき負のスパイラル 5月の第1週、米国のFOMCで利上げとFRBのバランス シートの縮小が正式に決定されました。その直後米株は 材料出尽くしと思ったのかなにを好感したのか判らない もののそれまでの下落が大きく買い戻されてNYダウ でも1000ドル近い上昇を示現することになりましたが、 翌日から一転して再度大きく値を下げる展開となり週明け にはさらに大きな下落に直面することになりました。 NYダウは3月安値を下抜け、S&P500も21年3月以来 の4000ポイント下抜け、ここのところハイテク株に資金 が集まっていたNASDAQも高値から20%も下落して、 さあこれはいよいよ中央銀行がカネをバラまき過ぎて示現 したいわゆる中銀バブルがFRBの引き締めをきっかけに 崩壊するのではないかといった実に嫌な予感も走ること となりました。ただ週末の13日は米株3指数ともに大きく 買い戻しが入ったことからとりあえず底はつけたようにも 見える状況でほっと一息といった雰囲気も醸成されること となっています。 ただ、デッドキャットバウンスなどと言って死んだネコでも 床に叩きつければ跳ね返るなどという実に気味の悪い諺を 口にする市場関係者もおり、ここからはたして米株市場が もとの軌道に戻れるのかが大きな注目点となりつつあり ます。 ■足もとの下落騒動、全市場全部売りの兆候は追証相場が原因 今回株価が大幅下落になった原因については米国の市場 関係者は口を揃えて相場の下落に伴う証拠金不足による マージンコール、つまり追証相場が大きく影響していると 指摘します。証拠金債務残高、英語ではマージンデットを 呼びますがレバレッジをかけるなど借金をして金融商品 を売買する投資家の世界的な債務残高は2021年になんと 95兆ドルに達し今年に入ってから若干減少して今年の 3月末では80兆ドル弱に減少しています。それにして も2020年3月に新型コロナ感染拡大をきっかけにFRB パウエル議長が打ち出した無制限緩和が起因してこの 証拠金債務残高はたった2年で1.6倍以上に跳ね上って いるのですわけですから緩和が借金づけの相場買いを もたらしたことは紛れもない事実ということができます。 今回の下落は2000年のITバブルや2008年のリーマン ショックなどに比べれば現状でも比較的下落率は緩やか に見えますが、市場が大騒ぎしてほぼ全資本市場で 全部売りとなっている背景にははやり借金して取引して いる人達の相場下落による証拠金取引の追証要求が深く 絡んでいることが用意に推測されるところとなって います。 ■追証相場がもたらす三段階の悲惨な下落プロセス 今回示現した追証相場は概ね3つのステージが矢継ぎ早 に到来することとなっています。 まず証拠金不足から追証を求められた投資家はプロの 投機筋から個人投資家まで追証入金の期限までとにかく 自らが保有する利の乗ったポジションを一斉に売り飛ば すことで換金に走ります。アップルやマイクロソフトと いった優良株でさえ一斉に売り浴びせを受けたのはその せいで、追証相場はとかく全市場全部売りになりやすい ことを改めて示唆した状況です。 過去3か月投機筋がもっとも含み益を出したのは原油と ドル円だったようですが、この追証相場をきっかけにして ドル円が利益確定売りの嵐になって127円台にまで沈む ことになったのも単にリスクオフだから円買いという訳 ではないことが見え隠れしてきます。 この追証相場、ほぼ2営業日でなんとか追証を確保できた 向きは一安心となりますが、それがままならなかった投資 家の保有ポジションは一定の期日で一斉に強制決済に 付されることになりますからこれがまた相場の下落を誘う 大きなきっかけとなったようです。とくに市場参加者の ほぼ7割近くが現物ではなくレバレッジがかけられる いわゆる仮想通貨FXで取引している向きは相場が1割 下がっただけでも強制決済は免れず横並びで強制ロス カットを食らうことになりますからこの損切で一段と 相場は下落するという完全な負のスパイラルに陥ります。 さらにこのような相場の大暴落に慌てふためいた個人 投資家は一斉に出口に向いとにかくいくらでもいいから 持ち株、持ち商品を売りさばきたいとパニック状態に陥り 相場は結果的に必要以上に値を下げて底をつけるという 最悪の時間帯に突入してしまいます。これが俗にいう ミンスキーモーメントで実は相場の大暴落にはこうした 人々の狼狽売りが相当ネガティブに寄与することなるのは 過去の暴落でもよく知られています。 かくしてこの最悪の循環プロセスに入りますと相場が下げる たびに証拠金取引の輩が追証を求められることになります から値が戻すとやれやれ売りも多数でることにになり、戻った はずの相場はまた下落プロセスに逆戻りということになって しまいます。 マージンデットが相場の暴落に及ぼす影響というのは事前や 途上ではなく大暴落が起こってはじめてその事の重大さに 気づかされるといいますが、現状の下落がとにかく一過性 のものなのかさらに続くのかは相当精査する必要のある時間帯 に陥っているようです。中銀バブル崩壊ならこの程度の下落 では済まない動きが延々と続くことを警戒すべき状況です。 もっともらしいことをいくら言っても先のことはだれにも 判らないのが現実社会です。くれぐれもご自愛いただきたく。

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