メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

【Vol.430】冷泉彰彦のプリンストン通信『米中ロ、3カ国の危機が一気に好転?』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「日本総領事(大使)のメッツ始球式スルー事件を考える」  ニューヨーク・メッツの本拠地シティ・フィールドでは5月13日に「ジ ャパンナイト(Japanese Heritage Night)」というイベントが行われ ました。なかなか盛りだくさんな内容で、グッズがもらえる1500枚の限定 チケットが売られ、当日は日本政府、企業、団体の代表が招待されたようで す。  ハイライトは「日本のレジェンド」たちからのビデオメッセージで、日本 ハムの新庄剛志監督、メッツとロッテなどで指揮を執ったボビー・バレンタ イン元監督、ライバル球団元ヤンキースの松井秀喜氏からの映像が大型スク リーンに登場したそうです。  問題は、試合開始前に、在ニューヨーク総領事(大使級)の森大使が始球 式を行うはずが、スルーされてしまったことです。これは、メッツの先発だ ったマックス・シャーザー投手の「投球練習と重なってしまった」ためと説 明されています。森大使は結局のところは、投球する機会がないまま、マウ ンドから走り出たようです。  この事件、もう一回ちゃんと始球式を行うということになったそうですが、 一体何が問題だったのでしょうか?  これは非常に単純な問題だと思います。「始球式」の概念が日米で違うこ とから出た誤解ではないかと思うのです。日本の場合はかなり厳密に決まっ ていて、 「始球式をする人はマウンドに立って、正規の投手打者間の距離を投げ、で きるだけノーバウンドのストライクを狙う。打席には本物の1番バッターが いて、空振りして礼儀を示す」  というものです。ですが、アメリカの場合は2つ違いがあります。  1つは、タイミングです。先発投手がマウンドに上がったら、最後のウォ ームアップをして初球まで、緊張感を高める流れ(今回のシャーザーは特に こだわるタイプのようです)になっています。ですから、始球式は多くの場 合はその「前」になります。  2つ目は方式です。アメリカの場合は、どうしてもマウンドに立つという こだわりはありません。マウンドの手間から、あるいは打席の近くで「ちょ こん」と投げるとか、例えば観客席から投げ入れるなど、いろんなスタイル があります。  多分、この2つの点で考え方の誤解があったために、上手くいかなかった のだと思います。もう一回機会があるそうですので、森大使は「どうしても マウンドの上から」と思っておられるのなら、そこを徹底すべきですし、そ こにこだわらないのであれば、簡単な方式でもいいのではと思います。  いずれにしても、シャーザーに悪意があった可能性はゼロと思います。

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎月 第1火曜日・第2火曜日・第3火曜日・第4火曜日