■■ 2022/05/19 ■■
兵頭正俊の優しさ出前
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経済制裁の効力と無力 (その2)
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なぜ安易に制裁が発動されるか、という本質的な問いに
対して、ダニエル・W・ドレズナーは、「要するに、他
の何かをするよりも制裁を発動する方が簡単なのだ」と
答えている。
1 いまやアメリカの覇権は廃れつつある。現状に挑戦し
ようとする国は増えている。アフガニスタン、イラク、
リビア、シリアなどでアメリカの政策が明らかに破綻し
たために、その強制力行使の威嚇にもいまやそれほど大
きなインパクトはない。逆にアメリカに挑戦しようとす
るアクターが増えれば増えるほど、米国内では制裁を求
める声も大きくなる。
2 何十年にもわたるテロとの戦いによって、政策立案者
と市民は大規模な軍事介入への関心を失った。ドローン
攻撃やターゲット攻撃のような、米軍に犠牲者の少ない
軍事力行使も、政策エリートには政治的に好まれなくな
っている。ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク
戦争を経て、多くの米市民は、最初は限定的な軍事介入
であっても、コストのかさむ、長期的な戦争に容易にエ
スカレートしかねないことを見抜いてきた。
80年以上にわたって、ワシントンは相手国の外交を友
好的な方向へ向かわせる手段として、対外援助と特恵貿
易を積極的にオファーしてきた。対外援助はあまり好ま
れてこなかったが、ポピュリズムの時代になって、さら
に敬遠されるようになった。
3 制裁を合法とするアメリカの法律は大幅に増えてい
る。議会にとって、経済的な強制力は政治的なツボであ
り、宣戦布告よりもコストとリスクが小さく、象徴的な
決議よりも厳格な措置になると考えられている。たとえ
それがうまくいかなくても、政治家は、問題に対して手
を打っていると有権者に伝えることができる。
今後の制裁で注目すべきは、中露によるスウェーデン、
フィンランドの、NATO加盟への制裁である。これに対
して米欧は感情的にならないことだ。
感情的な反発は、制裁コストを高くする。これまでのア
メリカだったら、またやりやがったで、済んできたが、
これからはもうそれでは済まない。
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