党内批判に曝される
高い失業率生む規制
李首相が復権果たす
地価下落で財政危機
権威主義の落し穴へ
習近平氏は、大きな危機に立たされている。今秋の党大会では、異例の国家主席3期目を実現させたいとしている。だが、これを巡る反対論が党内で起こっているからだ。昨年11月、共産党結党以来で3回目になる「歴史決議」を発表し、国家主席3期目へのレールを引いたと見えた。だが、この「歴史決議」は強い不満を抱えての決定だったという。
その不満が、今年に入ってからの内外の情勢変化を受けて、具体的な「習批判」となって噴出している。厳重な情報統制で海外には伝わらないが、それを裏付ける格好の記事が登場した。中国共産党機関紙『人民日報』(5月16日付)は、元指導者を含む引退した党員に対し、党の規律や規則の厳守を要求する文書を作成した。
具体的には、次のような内容だ。「指導者の職務を担った幹部党員は、党中央の政治的大方針にみだりに意見したり、政治的にマイナスとなる言論を広めたりしてはならない」と強調した。党幹部人事を統括する党中央組織部の責任者によれば、引退幹部の規律違反が近年起きていると指摘し、引退幹部の出国を厳しく管理する考えも示したという。
党指導部の最高人事は、引退指導者の意見を聞き取る手続きを経て決まる。その意見を聞く相手である先輩の引退指導者に対し、「かん口令」を敷くとはあべこべである。習近平氏が、相当な苦境に立っていることを覗わせている。「無理が通れば道理が引っ込む」ことも限界を迎えたと言うことだ。
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