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小米物語その44
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1998年に雷軍(レイ・ジュン)が金山軟件(キングソフト)のCEOに就任をしたのは、聯想(リエンシャン、レノボ)がキングソフトに450万ドルを投資をする時の条件だったからだ。盤古(パングー)の失敗により会社に損失をもたらせた責任感から引き受けた。雷軍に課せられた使命は、会社の経営を回復させることと、キングソフトを上場させることの2つだった。中国のテック企業の中では、かなり早い時期に明確に上場を目指したことになる。
しかし、それは簡単ではなかった。なかなかキングソフトの財務状況はよくならない。雷軍の奮闘を尻目に、創業したばかりの新浪、捜狐、網易(ネットイース)などが次々と米国ナスダック市場に上場をしていく。雷軍は、その様子を見て、不思議に思っていたという。「自分はこんなに苦労をしているのに上場の可能性が見えてこない。なのに、彼らはなぜあんなに簡単に上場できるのか」と感じていたという。
雷軍はある従業員からこんな話を聞かされて心を痛めたという。その従業員は春節の時期に家族とすごし、「今年こそはキングソフトは上場するから」と話し、所有している株の一部を売って、家を買おう、旅行に行こうという話をしていたという。ところが、最近では、家族はもう誰もこの話を信用しなくなったということを悪気なく、冗談として雷軍に話をした。
その場で、雷軍も一緒に大笑いをしたが、内心深く傷ついたという。自分の能力不足を指摘された気持ちになったからだ。
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