松尾スズキの【のっぴきならない日常】vol.516（１／２）

◆◇◆ ５／１７（火） ◆◇◆ 　今日は俳優さんがお仕事ということで稽古休み。なんだかんだ休みが多い。が、昨日の稽古で尺が２時間１５分まで縮んだので、ほっとしている。通しは、あと４回ほどできるだろうか。ほとんどできあがっているシーンはいくつもあるので、少し気が楽だ。ほんとにいい俳優が集まった。ホンが、また良いんだよなあ……。とはいえ、今年の後半の仕事が、じわじわ背後にせまっては来ていて、気が楽とはいえ、なにかこう手放しな気分ではいられない。 　今日、文化村のスタッフから、新しい公演でコロナ陽性者が出て本番が中止になりました、と報告が入る。またかよ……。 『広島ジャンゴ』 は無事に逃げきったらしいが、テレビであまりコロナのことをやらなくなっているので油断していたら、まだこういう事が起きるのである。 　日々、脱力感との戦いである。コロナ禍の中、演劇の道に入った者もたくさんいるだろう。彼らは、そのキャリアの最初からマスクを着け、毎日、感染に怯えながら稽古をしているのである。せいぜい一週間ぐらいの公演なら、陽性が一人出れば、まるまる飛ぶのだ。芸術とまったく関係のない戦いを強いられながら、それでも演劇を選んだ若者に、わたしは敬意を払いたい。もしくは、あきれてもみたい。もし自分だったら、やろうと思っただろうか。自分たちが大人計画を始めるために集めたお金は、最初５０万円くらいだったと思うが、それでも無職であったので、とてつもなく大変だった。それが、わけもわからぬ伝染病のせいで、稽古ばかりして公演を打てぬまま泡と消えるのである。よく耐えてるよ、若手の人たち。 　朝、昨晩しゃぶしゃぶをやったので、それで雑炊。それから『ＴＶブロス』の台本を書き、整形外科で腰に電気。帰りに近所のラーメン屋で煮干し醤油ラーメン。で、家で 『マッドマックス』 を観ながら、エアロバイク４０分。汗みどろ。いつもと同じ、痩せたいのか太りたいのか、よくわからぬ一日。