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/ 2022年5月27日発行 /Vol.516(2/2)
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「人生に座右の銘はいらない」
読者からの相談や質問に松尾スズキが独自の視点でお答えします!
Q.今の彼氏はバツイチで、以前の離婚の原因は彼の浮気だそうです。正直に話してくれたのは嬉しいのですが、女友達に「男の浮気は病気だから、またするかもよ」と言われ、結婚(結婚式をしたいので、コロナが収まれば、たぶん来年になるかと思います)も考えているので少し不安です。松尾さん、こんな私が結婚前にできることがあれば、なにかアドバイスをいただけませんでしょうか?(29歳、女性、医療事務)
A.「浮気が原因だ」と話してくれるだけで、なかなか信用はおける気がします。たとえば、わたしは離婚した女性を何人か知っていますが、「わたしが浮気したせいで……」と言っている女性と一人も会ったことがありません。男が浮気する限り、女性だって浮気しているはずなのに、と思います。それぐらい浮気の自白は大きめな告白なんじゃないかと考えられます。あとひと押し、なにか自信を持ちたいのであれば、相手が浮気すれば浮気仕返すムードを出す、ということじゃないでしょうか。彼の前で、なんとなく出会い系サイトを見ているとか。なにしているの? と聞かれたら。「心の中に、まだ出会ってない男牧場がある」とか、「けど、これ浮気じゃないよね?」なんて適当なことを言ってみるとか。油断ならねえ、という雰囲気をこちらからも放っていればいいんじゃないでしょうかね。
Q.私は仕事とプライベートのオンオフの切り替えが苦手なのですが、メルマガを拝読していると、松尾さんは、ずーっとオンな気もして、それが結果につながっている以上、私が甘い気もしてきますし、松尾さんのようなスーパークリエイティブな仕事と、私のような地味な営業職を比べるのが間違ってる気もします。でも、でもやっぱりオフがないと頭の疲れも取れないんです。松尾さんは、なぜオフがなくても大丈夫なんでしょうか?(28歳、女性、会社員)
A.ま、でも、酒を飲んでいる時は、まあまあオフってはいます。とくに最近は、稽古帰りに疲れ果てていて、家に帰ったらもう酒飲みながらバラエティ観るぐらいしか余力が残っていません。うっすら、「これメルマガに書けるな」ぐらいのことは考えますが、それを考えることも含めてエンタメを楽しんでいます。あなたはメルマガやってないでしょうし、ぞんぶんにオフっていいのではないかと。昨日、たまたま『IPPONグランプリ』をやっていたので、久しぶりに観ていました。大喜利モノは楽しんで観るのですが、同時に「自分なら」というのを考えたりするので、終わると、どっと疲れます。やはり、バカリズムって人は頭の回転がすごいですねえ。
Q.以前、ある作家さんのイベントで、作家志望の学生の質問に「とにかく、たくさん本を読んで欲しい。売れているほとんどの作家が、ものすごい読書量だから」と話していました。これって俳優さんにも当てはまることなんでしょうか? それか、松尾さんなら俳優志望の若い人に、どんなアドバイスをされますか?(33歳、女性)
A.小説は重要です。漫画や映画もそうですが、キャラクターの宝庫だからです。俳優は、自分がやったことのないものを演じなければいけません。犯罪の捜査。逆に犯罪。医療の仕事。学校の先生。漁師。スポーツ選手など。そういった人の佇まいや台詞の言い方、ものの考え方、ボキャブラリーなどは、本や映画を観たりして頭にキャラのストックがあるほうが断然演じやすいわけです。
でないと、「こんなそわそわした刑事いないよ」「こんな筋肉パンパンの医者おかしいよ」とか(まあ人によっては、いるんでしょうけど)、撮影や舞台の現場で事故が起きるわけです。また現実では、我々はたまに意味なく手をぶらぶらさせながら話すことがあります。ところが、映画を観ていると意味もなく手をぶらぶらさせている俳優はいません。映画で意味なく手をぶらぶらさせている俳優がいると、映画の絵面が汚くなりますし、そのシーンで本当に表現したいことがブレます。だから監督に「やめて」と言われ、二度と呼ばれません。映画や舞台は、すべての俳優の行動に意味を求めます。深刻な話をしているシーンで、隅のほうの俳優が鼻を掻いていて良いわけがありません。俳優は、キャラ作りのための知識を小説などから学び、やっていいことと、やってはいけないことを映画や舞台を観て学ぶわけです。でも究極は、日頃の人間観察だとも思います。
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