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【Vol.432】冷泉彰彦のプリンストン通信『IPEFと中国との共存戦略』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「外国人入国再開に関する3つの疑問」  観光庁は訪日観光客の受け入れ再開に向けた「実証事業」で大分県に滞在 していた参加者1人が新型コロナウイルスに感染していたことが確認された ため、ツアーを中止したと発表したそうです。  このニュースを受けて、ネットの書き込みでは「外国人観光客の受け入れ は時期尚早」だという「鎖国派」が多数になっているようです。今回の感染 報道ですが、現時点では「入国直前72時間以内におけるPCR検査陰性」 に加えて、「入国時の抗原検査員制」というチェックもかけているので、日 本で感染した可能性が高いと思います。  仮にそうであれば、この参加者は「被害者」だとも言えます。それはとも かく、この「受け入れ再開」に関する報道ですが、3つの疑問を提起してお きたいと思います。  1つは、ワクチン接種歴です。現在の入国時の検疫では、「3回接種」を 重視しています。ですが、今回の世界的なオミクロン株の感染拡大では、 「3回受けていれば相当に安心」ということはありません。もっと厳し目に して、「最終のブースターから5ヶ月(あるいはもっと短く)以内」という 縛りにするか、あるいは現時点であれば「4回」を必須にするとかしておく 方がいいのではないかと思います。  2番目は、観光客の前に「日本人の配偶者、婚約者、元日本人」など、外 国籍として長い「鎖国期間」の間は、入国できなかったグループへの配慮で す。とにかく、パスポートが外国だというだけで、親族の臨終にも葬儀にも 納骨にも墓参にも行けなかった人、入籍していないからという理由で、入国 できなかった婚約者など、この2年間の鎖国で人生における苦痛を強いられ た人々、このグループを真っ先に入れるべきだと思います。  3番目は、「2万人の入国制限」の方法です。全世界の航空会社に対して 調査をかけ、「その日は入国上限に達しそうだ」となると、一方的に便のキ ャンセルを要求するというのは、無茶苦茶です。とにかく予約していても、 そのフライトが突然消されてしまうのですから、もう少し丁寧な方法はない のでしょうか?  いずれにしても、現在行なっている水際作戦(対策)というのは、感染症 学の知見とはあまり関係がなくなっており、社会心理学あるいは人類学的な 専門性から最適解を作っていくような問題だと思います。それはそれで仕方 がないので、とにかく関係者の全員が笑顔になるような施策を必死になって 実行していただきたいと思うのです。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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