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高野孟のTHE JOURNAL Vol.552 2022.6.6
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1158》
米中間選挙を覆う「MAGA」という心の病/共和党はトラ
ンプの悪霊を祓うことができるのか?
【2】《FLASH No.454》
ウクライナ侵攻に刺激され、挙国一致で中国との戦争に
突き進みかねない危うさ/日刊ゲンダイ6月2日付「永
田町の裏を読む」から転載
■■INSIDER No.1158 22/06/06 ■■■■■■■■■
米中間選挙を覆う「MAGA」という心の病/共和党はトラ
ンプの悪霊を祓うことができるのか?
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半年後に迫った米中間選挙に向けて民主・共和両党の
候補者選びのための予備選挙が進んでいるが、そこに暗
く重い影を投げかけているのはトランプ前大統領という
黒い禍いの雲である。
2年前の大統領選で彼が敗北し、その選挙結果をフェ
イクだと主張、それに煽られて興奮した支持者が米議事
堂に突入するという米民主主義史上で前代未聞の醜態ま
で演じた挙句に去って行った後に、しかし共和党には本
来の穏健・中道保守路線を立て直そうとする主流派の目
覚ましい動きは何も始まらず、その荒野のようなところ
を相変わらずトランプが徘徊して「キングメーカー」で
あるかに振る舞い、あわよくば2024年大統領選で再選を
果たすための条件を掴もうと画策しているのである。
●共和党有利の予想は変わらない
一般に、新しい大統領は最初の中間選挙で野党の批判
を浴びやすく、第2次大戦後の19回のうち17回で与党が
議席を減らしているという統計があるほどである。加え
てバイデン政権の政策は内外共に精彩を欠いて一向に支
持率が上がらず、このままでは共和党有利のまま11月を
迎え、上下両院とも共和党に多数を握られることになる
公算が大きい。
上院は100議席を50対50で分け合い、辛うじて議長を
ハリス副大統領が務めることで民主党が1票差を確保し
ている形。今回改選となる3分の1=34議席のうち共和
党の議席が20、民主党が14で、しかも民主に選挙に強い
議員が少なくないので、そう大きく負けることはないだ
ろうが、しかし1~2議席減らしただけでたちまちバラ
ンスが崩れる危うい状態である。下院は435議席の全て
が改選となり、現状が民主222、共和210、欠員3とほぼ
拮抗状態にある中、共和党が8議席以上を奪えば逆転す
るので、そうなることはほぼ間違いないと見られてい
る。
とはいえ、問題は民主党との議席差よりも、おそらく
両院で多数派を占めることになる共和党議員の中でトラ
ンプ派がどれほどの比重を占めることになるかによって
決まる「質」である。
●「MAGA度」を競い合う各候補
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