科学では説明のつかない何か

ドクター畑地の診察室144.2022.6.12. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います！おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者（肺癌、喘息、COPD、肺炎など）を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説＆ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信！ https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身　自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け！radioを聴いてらんらんらん（lung lung lung）」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 科学では説明のつかない何か ユリゲラーが流行ったのは私が小学2年生の頃でした。当時、超能力ブームが巻き起こり、私もTV番組をかじりつくような気持ちで見ていた記憶があります。そのTV特番では“壊れていた時計が直った”や“スプーンを曲げることができた”など、様々な視聴者からの意見が寄せられ盛り上がったものでした。ユリゲラー以降、たくさんの超能力者がTVに出演しました。しかしなかにはトリックを使っているものがあったり、元々Mｒ.マリックのように超能力者でなくマジックと半ば公言している人もいたりして、超能力者が本当にいたのかいなかったのかは定かではありません。 学研の雑誌“ムー”の愛読者のことを“ムー民”と言うらしいのですが、私はムー民とまではいかなくても月刊ムーの愛読者です。私は科学では説明がつかない何かを信じないわけがありません。大学生の頃によく金縛りにあい、非常に怖い思いをしました。その当時は“霊的なものによって金縛りが起こっているのかもしれない”と思っていましたが、今になって考えると金縛りが起こるのは、決まって“前日夜更かしをした時の寝入りばな”でした。大学生時代、普段全く勉強していかったこともあり、テストの前は決まって徹夜をしていました。徹夜をしても次の日もダラダラと夜まで起きているのですが、そのような日の寝入りばなに決まって金縛りが起こっていました。徹夜をしなくなってから現在に至るまで、金縛りは起こっていません。そう考えると、体が非常に疲れている時にしか起こらないので、霊的な何かによって起こるというよりも、科学的に説明がつくのではないのかと現在は思っています。 ところが、科学的に説明がつくことばかりではありません。私の家族の話を出して恐縮ですが、私の母は昔から霊的なものに敏感だった気がします。私の弟は（本人には誠に申し訳ありませんが・・・。）高校生時代、全く勉強などしておらず、皆に“大学に合格するわけもない”と思われていました。ところが弟の大学受験が終わった後、突然母が父に“恵比寿様と大黒様の夢を見たから仕事を休んでくれ”と強く言ったそうです。父親は仕事に対して非常に真面目で、休暇を取ったことなどありません。その父が母の熱意におされて仕事を休み、2人で目的もなくドライブへ出かけたそうです。 あてもなく“椿大神社”という神社に到着し参拝すると、そこには新しく作られた恵比寿様と大黒様の像があり、なんと数日後に除幕式だったそうです。それを見た母は“弟の大学合格と人生における成功を確信した”と言っています。その後、弟は見事に大学合格しました。人生における成功は今後の生き方次第かと思いますが、世間一般から見れば弟は成功しているのではないでしょうか。 私が小学2年生の頃、ユリ・ゲラーブーム真っ最中の給食時間、教室ではスプーン曲げが大流行しました。曲がるわけはないのですが、クラスの中で1人だけ実家が駅前で自転車置き場を経営しているMHさんという女の子がスプーンを曲げることができました。小学2年生で給食のどのスプーンも曲げることができたのですから、今でも鮮明に覚えています。彼女がスプーンを指でなぞると、単に曲がるだけでなくて波のようにグネグネに曲がり、またスプーンを触ると元通りになりました。その当時の私は、たいした事ないと思っていましたが、今考えると大変なことです。今でもしっかりとそのことを覚えています。 と言うわけで、私は今でも医師という職業でありながら、科学では説明のつかない何かを信じてしまっています。東京行ったときに“ムー”伝説の編集者である三上さんの本を見つけ、このようなことに思いを巡らせました。嘘のような本当の話です。