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【Vol.434】冷泉彰彦のプリンストン通信『経済の混乱と米中の政局』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「いわゆる「水際対策」の混乱と人権侵害」  5月下旬に2年半ぶりの一時帰国をしました。入国について、特に検疫プ ロセスに関しては、現在ではやや緩和されたものの「水際対策」というスロ ーガンのもとで複雑になっており、これはやはりストレスでした。  勿論、一時期のように、同便の搭乗者に陽性者が出ると全員(後には座席 の前後3列)が濃厚接触扱いとなって、保健所の呼び出しによって強制隔離 されるなどということは、なくなっていました。  まず、帰国の前段階で問題となったのが「日本様式の陰性証明書」でした。 日本語と英語とが併記された様式で、医師のサインまで求められるものです。 この陰性証明を、帰国便の出発時刻の72時間前までの検体採取という条件 で用意しないといけないのです。この点は現在も変わりません。  この「日本様式の陰性証明」というのは大変に不評です。まず、米国では 珍しい罫線で囲まれた証明フォームであるし用語が厳格だし、そもそもPC R(など)の検査に関しては、責任者の医師がサインするなどということは、 米国では稀だからです。例えば、日系の医院などでは300ドルなどの手数 料を取って日本様式フォームへの記入とサインを行うところがあります。そ の一方で、広域チェーンの薬局では基本的に検査は証明書発行を含めて無料 となっています。  そんな中で、この「日本様式」については段階を追って簡素化がされてき たのでした。3月からは、「日本様式以外」でも受け付けるようになったし、 6月10日からは医師名もサインも不要となるなど、様式自体が簡素化され ているのは事実です。  ですが、依然として混乱は続いています。「日本様式フォームがある以上 は、この様式に従わないと万が一受理されなかったら大変だ」と思う人は2 00ドルとか300ドルを払って「あそこなら書いてもらえる」という口コ ミを頼りに日系などの医院に行くことになるわけです。その一方で、厚生労 働省などのサイトをよく読むと「英文の独自様式の証明でもいい」となって いるので、無料の検査でサクッと受理される人もいるということで、今でも 日本行きを考える人には大きなストレスになっているのです。  一方で、在外公館に電話で問い合わせると、係官によって全く別の答えが 返ってくるようです。「平気で高額な日系医院を進めるケース」「無料の薬 局チェーンで大丈夫だと明言するケース」「当館ではお答えできないので、 厚労省に電話してくださいと逃げるケース」など様々な対応がされているよ うなのです。とにかく、日本へ行くには、この「陰性証明」の問題で、出発 前からストレスを抱える人が続出しています。6月10日からは様式が簡素 化されているのは事実ですが、それでも日本渡航におけるストレスはゼロに なっていないのです。(続く)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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