1.画期的な薬が日本で手に入らない未来が来ている
日本企業が力を失ったといわれて、長い年月が経ちましたが、実は製薬分野は、日本企業が世界の競合となんとか渡り合えている分野です。
2019年の時点では、製薬企業のトップ30に日本企業は4社ランクインしています。日本企業は外資に比べると国内市場を重視しますから、日本人が画期的な医薬品を入手しやすい状況があるともいえます。
また、市場規模で見ても日本は世界第3位と魅力的な市場です。市場規模が大きいということは、外資も含めて製薬企業が日本に優先して薬を売ってくれる状況があるといえます。
参考:医薬品産業ビジョン2021資料編
製薬企業にとって魅力的な市場であり、国民にとってもよい薬がいち早く手に入る場所、それが日本だったわけですが、最近は徐々にその状況が変化しています。
診療報酬(医療の値段を決める点数表だと思ってください)を見てみると、1990年から1996年までは3~5%プラスの改定率でしたが、ここ数年は1%以下の小幅のプラス改定率に収まっています。
診療報酬には、医師の人件費や技術料などにあたる「本体」部分と、薬の価格や医療機器の材料費にあたる「薬価」部分がありますが、薬価部分だけを見ると、1989年にプラス改定されて以降、マイナス改定が続いています。
つまり、既存の医薬品の値段の切り下げが恒常的に続いている状況です。それでも薬剤使用量の増加や新規医薬品の収載により、2015年までは薬剤費の総額は伸びていました。
ところが、最近では日本全体の薬剤費の総額も前年度比でマイナスになる状況も珍しくなくなっています。
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