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6月19日号
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世界を主導するリーダーずらでNATO首脳会談出席の岸田首相~
その実態は米国に仕掛けられた軍事費負担のカモネギ状態という危うさ
岸田首相は6月15日記者会見し、今月末スペインで
開催されるNATO首脳会談に日本の首相として初めて
参加することを表明しました。欧州とインド太平洋の
安全保障は不可分というのが出席の大義名分ですが
この参加、傍から見ていますと実に日本に危ない状況
を齎すことになりそうで、ご本人がそれをしっかり
掌握されているのかどうかかなり気になる状況になって
きています。
■ブリンケンが4月末に既に仄めかしていた岸田首相の出席
米国のブリンケン国務長官は4月26日に開催された米上院
外交委員会公聴会で岸田首相が6月末のNATO首脳会談に
出席する旨を明らかにしています。いきなりこの報道が
飛び出した首相官邸はかなりびっくりしたようでまだ何も
決まっていないと打消しに躍起になっていましたが、蓋を
開いてみれば結局岸田首相の首脳会談参加が決定してしまい
この件は米国主導で設定されたことを強く印象付ける結果
となりました。自分の意思では検討するばかりで何も決め
られない岸田首相は米国様からの強い要請を受けざるを得
ない状況に陥っていることが垣間見られたわけです。
NATOといえば冷戦時代に欧州に設立されたもので国内の
社会科の教科書にも北大西洋条約機構が紹介されています
からその知名度はかなり高いものといえます。
しかしソ連の崩壊により冷戦構造が終結したことでその役割
には大きな変化が生じているのが実情で、足もとでロシアが
ウクライナ侵攻を断行したことで急冷戦時代の構図が再度
クローズアップされるようになっていますが、近年のこの
機構の役割は大きく変化していることがわかります。
■地域外の紛争、危機管理、対テロ対策に乗り出したNATO
冷戦終結後、NATOの役割は北大西洋の安全保障を履行する
だけではなく、さらに周辺地域の紛争抑止や危機管理、対テロ
対策などに関わるようになってきています。しかしロシアや
中国からの視点ではNATOはすっかり米国の手先として
アフガニスタン戦争やリビア空爆などに加担する勢力として
認識されており、米国の覇権主義を推進する政治的な道具
として認識されるようになっていることが気になるところです。
このNATO、トランプ政権時代にはトランプがあまりにも
米国の軍事費負担が大きかったことに猛烈な不満をぶちまける
ようになっており、加盟国は一律GDP比4%の軍事負担を
しないかぎり米国はNATOから離脱するとまで恫喝をかける
事態となりました。しかしながら軍産複合体の傀儡政権と
してお馴染みのバイデン政権が成立してからは関係は修復され
ることとなり、ウクライナ戦争でも米国は多額の兵器を売り
つけることに成功し戦争ビジネスは一段と盛りあがりをみせて
いるところです。
ただ、現状の加盟国は弱小国が多く、より多くの軍事費を負担
してくれる国を探しているのもまた事実で、日本は米国に
その役割を果たす国としてはめ込まれた感が否めません。
■日本がNATOの軍事費負担のカモネギ状態に陥るかどうかに大注目
日本は2018年7月にベルギーブリュッセルの日本大使館内
にNATO日本政府代表部を設置してそれなりの関係を築いて
きていますが、NATO首脳会談に日本の首相がオブザーバー
とはいえ正式に参加するのは相当踏み込んだ動きであり、
岸田首相は世界の主要なリーダーの一員として胸を張りたい
のでしょうが、その代わりに米国とNATOから求められる
代償が非常に気になるところです。
この間の米国と岸田首相とのやり取りを見ていますと、先方
からの要求は一も二もなくすべて受け入れているのが実情
ですから、米国の代わりにNATOの軍事負担を要求されて
も気前よく支払う可能性は相当高くなりそうです。
いまのところオブザーバーですから軍事費負担などありえ
ない状況ですが、米国に押し切られればとんだカモネギ的
存在に成り下がる可能性は相当高く、とかく外交で大盤
振舞いしてみせて過分な資金をバラまく自民党政権のやり口
が今回もそのまま露見することが危惧されます。
■NATOに擦り寄って日本の安全保障レベルは高まるのかも大きな疑問
今回のロシアのウクライナ侵攻に対するNATOの対応を見て
いますと加盟国でもない国で戦争が勃発しても闇雲にその
戦争に加担すれば新たな世界大戦になりかねないことから
NATOは一貫してウクライナに武器供与を行うばかりで、
戦争を止めるわけでもなく、逆に助長するかのような行動
に出ています。
日本がNATOに接近することはロシア、中国からかなりの
嫌悪感をもって見られるのはもはや決定的な状況のようです
が、ひとたび極東で日本が巻き込まれる軍事紛争が勃発した
とき一体NATOは何をしてくれることになるのかが非常に
気になるところで、自前で供出させられることが予想される
NATOの軍事費負担分の兵器を有事に提供してもらうだけで
はなんの安全保障上の解決にもならないことは火を見るより
明らかな状況です。
昨日のメルマガにも書きましたが安倍政権下における日銀の
子会社的財政ファイナンスと金融抑圧によるゼロ金利の
徹底というスキームはすでに破綻崩壊過程にあり、岸田
政権には打ち出の小づちのような資金源はすでにまったく
存在しなくなっています。NATO首脳会談参加で気が大きく
なってくれぐれも莫大な資金援助に乗り出すことなどない
ようにしていただきたいものです。
何もしないのに支持率が高いと揶揄される岸田政権ですが
よくよく見るとロクでもないことはしっかり決断している
点が非常に危惧されます。
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