メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

違和感

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室146.2022.6.26. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php *********************************** 違和感 4月に松阪市民病院の院長となり、3か月ほど経過しました。想像以上に多くの業務がありますが、あくまでも医師業務の王道は“患者さんの診療”と考えています。なので、今後も診療を続けていきたいと思っています。 私は、自治医科大学卒業です。学生時代は三重県からの支援を受け、大学の学費はかからず毎月5万円ずつ貸与金という名前で小遣いをもらっていました。ただし、卒業後在学年数×1.5倍の年数は(留年しなければ9年)、三重県の指定された地域で僻地診療をしなければならないといった規定でした。僻地診療中は、例えば眼科を希望していても、皮膚科を希望していたとしても診療所に訪れる患者さんを対応しなければいけませんでした。そのような科を選択することは難しく、特に三重県の場合の実質選択肢は、ほとんど“内科”にならざるを得なかったことは事実です。それができない場合、あるいは卒業後国家試験を2年続けて落ちた場合は大学の学費+貸与金を大学入学時から換算して年利7%の利子が着いた状況で返還しなければなりませんでした。ただし9年の義務年限を勤め上げると返還はしなくても良い制度でしたので、私もいただいた奨学金は免除となっています。 本来、奨学金というものは、誰も彼も与えられるものではありません。大前提として、学ぶ意思がない人だったり、成績不良の人には与えられなくて当たり前の制度です。奨学金は、与えられればその分社会に対して貢献してくれるからこそ、与えられるものなのです。飛び抜けて成績が優秀な場合、一切の紐付きでない奨学金が与えられる制度はあると思います。ある程度の成績優秀者であるならば、奨学金を出している母体の指示に従い、粛々と仕事を行い貢献すれば奨学金が免除になります。ただし、そうでなければ(その組織に貢献できなければ)当然返還義務が生じて返還しなければいけないのは当然であり、そのことを議論すること自体おかしいと考えます。また、成績不良者や学ぶ意思がない学生は奨学金をもらえなくて当然で、その制度を利用したければ勉強すれば良いわけなのです。 松阪市民病院にも、将来松阪市民病院に就職を希望する医学生や看護学生に対して奨学金を出す制度があります。奨学金希望者の面接を院長として行うわけですが、これに違和感を覚えます。 ある時のことです。奨学金を希望する看護学生が面接に来ました。奨学金を希望する理由を尋ねると“留年してしまったので親に迷惑をかけたくない、その間の学費は奨学金で出したい”ということでした。そのように答える学生が非常に多いのは、嘆かわしい限りです。奨学金というものは、そもそも成績優秀者に対して病院が期待を込めて出すものであり、成績が悪くて留年する学生に好き好んで出すものではありません。そのように感じるのならば、留年しないように勉強しなさいという話です。 成績が悪いと、再度留年する可能性、国家試験不合格の可能性が高くなります。親に迷惑をかけたくなくても、病院には迷惑をかけても良いというのでしょうか。 やはり、奨学金面接の際にはしっかりした成績を上げたうえ、さらに進んだ学びを得るための時間が欲しいから、と面接してきてほしいと強く感じる次第です。 また、奨学金をもらう以上、しっかり勉強して社会に貢献する義務が生じることも、心に刻んでほしいと思います。 ***************************** ドクター畑地の診察室146.2022.6.26号 毎週日曜日お昼に配信します。 次号は2022.7.3.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください。 ◆2022年05月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2022/05 2022/05/29 ボスの忘れ物 2022/05/22 日本の薬 2022/05/15 治療どうする? 2022/05/08 ゴールデンウィークに思うこと

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • ドクター畑地の診察室
  • 現役呼吸器内科、総合内科専門医のメルマガです。世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信!
  • 220円 / 月(税込)
  • 毎週 日曜日(年末年始を除く)