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松尾スズキの【のっぴきならない日常】vol.520(1/2)

松尾スズキの、のっぴきならない日常
◆◇◆ 6/13(月) ◆◇◆  もう一度、どういう気持ちで自分は、あの新作のあらすじをああいうふうに書いたのか、何度も読み直すうち、答えは自分の中にちゃんとある、ということがわかった。2年という月日は、やっぱり長くて、おのれが書いた物語に無駄なニュアンスを付け加えすぎていたし、タイトルに縛られすぎていることもわかった。初心に立ち戻ればいいだけのことだったのだ。迷うな、もう。とはいえ、迷わず書けたことなどただの一度もないか。とにかく、間があくというのは怖いことなんだな。  今日、国会議事堂前の某事務所にて、弁護士に会ってきた。ぼんやり生きてきた自分の人生で弁護士に会う日が来るとは。弁護士を雇うということは、かなり、きっちりすることである。おのれの中からぼんやりを追い出すことである。そして、やっぱりしっかり着手金だけで、なかなかな額を持っていかれるんだなあという実感。 しかし、この方、弁護士な上に税理士の資格も持っていて、さらに元大手の新聞記者って、どれだけすごい人なんだ。そんなすごい人に頼むような案件では、実は、まったくなかったような気もするが、だからこそ、彼ならまず大丈夫と思えた。弁護士の基準を知らないので、彼なら、という根拠もないわけだが。今回の案件は赤子の手をひねるようなものだろう。なにしろ相手は赤ん坊だ。いや、赤ん坊のようなことはするが、大の大人だった。だが勝てる。勝てないはずがない。勝つ負けるとかいう以前に、争いにすらならないように弁護士を立てたのだから。そう心に言い聞かせながら事務所をあとに。最近、心に言い聞かせてばかりいるような気もするが。

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  • 有名役者がひしめく「大人計画」を主宰し、芥川賞候補の作家、岸田國士戯曲賞受賞の演出家、現代日本を代表する怪優など、才能が溢れすぎて困っているのに、謙虚な佇まいが魅力的すぎる松尾スズキ。そんな彼のメルマガは、日記、質問&人生相談(もちろん本人が答えます)など読み応えタップリ! これだけのボリュームで月々たったの500円!!
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