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/ 2022年6月24日発行 /Vol.520(2/2)
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「人生に座右の銘はいらない」
読者からの相談や質問に松尾スズキが独自の視点でお答えします!
Q.初めて人にお話しすることなのですが、もしかすると私の恋愛対象は同性かもしれません。これまでに男性とお付き合いしたことはあるのですが、デートをしてもセックスをしても、なんか違うとばかり感じてきました。そんなとき、取引先の女性のことがとても気になり、先日は打合せと称してランチして、最高に幸せな時間を過ごさせていただきました。ただ、問題はこの先で、彼女の嗜好もわかりませんし、同性の私からアプローチしていいものかどうかも、そもそも同性へのアプローチ方法も、その先、どうすればいいのかもよく分かりません。私は、どうすべきでしょうか? もちろん松尾さんが異性好きなのは存じ上げておりますが、なにかアドバイスをいただけますと嬉しいです。(31歳、女性、会社員)
A.実は、高校生の頃に同性を好きになったことがあります。その件については、次号の『GINZA』にエッセイとして書いたので参照してください。しかし、告白するのはためらい、崖っぷちで踏みとどまりました。だから、その先へは進んでいないので、アドバイスできるのは「よきにつけ、あしきにつけ、意志の力で踏みとどまることだってできる」ということしかないです。友情が壊れることを恐れたというのがひとつ。数十年前の九州の片田舎で同性愛者が生きて行くのは茨の道だ、と肌で感じていた、というのがひとつ。その彼がパンチパーマをかけたことに対する幻滅。まあ、その後、異性の恋人ができて、後戻りしていないというのは結局、自分は彼の中に女性を見つけて勝手にその部分を好きになっていたのかもしれません。
この多様化の時代、踏みとどまればいい、とは言いません。レズビアンものの映画なり漫画なりに強く共感を覚えることができるのなら資質はあるのかもしれません。まずは御自分の資質というものと、しっかり向き合ってから考えてみてはいかがでしょう。
Q.毎年、1月に1年の目標を立てるのですが、今年はTOEIC800点を目標にしてみました。が、気づけば6月になってしまい、いまだに何も勉強していません。仕事的にウクライナの戦争や円安の影響が大きく忙しいせいでもある、と思うのですが……。また今年もこうして1年があっというまに過ぎていき、気づけば老人になっているかと思うと、ちょっと怖いです。年齢を重ねるたびに、1年間が体感的にどんどん短くなっている気もします。松尾さんは1年の目標とか立てるタイプですか? 今年はどんな塩梅でしょうか?(44歳、男性)
A.あまり立てないです。とにかく飽きっぽいのです。立てた目標に飽きると自分に幻滅してしまいます。だから、今、目の前にあるなにかを片付ける、片付けたら前に進む、ということに集中しております。この歳になると、それだけで必死です。先日、コクーンで芝居を観た際にパンフレットを貰い、最後のほうを読んでいると、蜷川幸雄さんがコクーンでどれほど仕事をしたかが掲載されていました。2005年と、2008年には、一年で四本も演出しております。これは驚愕です。年に四本て。しかも、蜷川さんは埼玉の劇場の芸術監督もやってらしたので、
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