空虚だった「北京宣言」
中国が難癖つける理由
弱小国食い荒らす無法
中国の習近平国家主席は焦っている。今秋の共産党大会で、国家主席3選を勝ち取るためには、党員を納得させる成果を上げなければならない。現状では、得点はゼロどころか、マイナス点ばかりだ。そこで、党員だけでなく国民も奮い立たせるイベントが必要になった。
その役割を担ったのが6月23日、習近平氏主宰によるオンライン形式での新興5ヶ国(BRICS)首脳会議である。参加国は、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカの5ヶ国である。習氏は、BRICS首脳会議で米欧対抗軸をつくり上げて、中国が世界の2大強国として米国へ対抗する姿勢を国民に見せる算段であった。
この思惑を裏づけるように、習氏は首脳会議で強気発言を行なった。国連体制に基づいて、真の多国籍的な国際システムを支持する必要があると強調した。その上で、「冷戦思考を放棄し、対立を阻止する必要がある」とした。「主要新興国および途上国として、BRICSは自らの責任を果たしていかなければならない」と述べたのである。
ロシアのプーチン大統領もこれに呼応して、西側諸国が世界的な危機を助長していると非難。「誠実かつ相互に有益な協力によってのみ、一部の国々(注:西側諸国)の軽率で利己的な行動によって世界経済に生じた危機的状況から脱却する方法を模索できる」とし、BRICSの連携強化を呼びかけた。
習氏とプーチン氏の演説を聴く限り、現在の世界経済を混乱させている責任は、ロシアへ経済制裁を科している西側諸国となる。この原因をつくった、ロシアのウクライナ侵攻について一言半句も触れていないのだ。国連の紛争調整機能を奪っているのも、当事国ロシアの拒否権発動が原因である。余りにも、自己弁護が過ぎる中国とロシアの発言に、ブラジル・インド・南アフリカの首脳も、あいづちを打つわけにいかなかったに違いない。
空虚だった「北京宣言」
こういう経緯からか、BRICS首脳会議後の「北京宣言」は、習氏とプーチン氏のトーンとかけ離れた「穏やかな」調子のものになった。
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