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[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.555]戦争を後押しする「民間軍事会社」の存在

高野孟のTHE JOURNAL
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.555 2022.6.27                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《FROM THE EDITOR》 退院その後(3)ーー80歳の壁 【2】《INSIDER No.1161》 戦争を後押しする「民間軍事会社」の存在/冷戦後の世 界の歪みに咲いた徒花 【3】《FLASH No.457》 岸田内閣は感染症対策も組織いじりで「やってるフリ」 のお粗末さ/日刊ゲンダイ6月23日付「永田町の裏を読 む」から転載 ■■INSIDER No.1161 22/06/27 ■■■■■■■■■ 戦争を後押しする「民間軍事会社」の存在/冷戦後の世 界の歪みに咲いた徒花 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  ウクライナのゼレンスキー大統領は開戦直後から、自 国民(の特に成人男性)に対しては「武器を取ってロシ ア軍と戦え」と呼びかけると同時に、広く世界に向かっ て「ウクライナ国際防衛軍団」に参加してウクライナ軍 と共に戦う外国人義勇兵を募ってきた。 ●傭兵か義勇兵かの区別はあいまい  これはなかなか難しい法的な問題を孕んでいて、ウク ライナ人の愛国者や外国人戦闘員がウクライナ正規軍の 下に組み込まれていることを相手が識別できない形で市 民に混じって戦った場合は、ロシア軍に一般市民に対す る無差別攻撃の口実を与えることになり、現にそのよう な形で過剰な被害が出たケースも多いと推測できる。ま たウクライナ人にせよ外国人にせよ、非正規戦闘員と見 做されれば戦時国際法による捕虜としての人道的な扱い を受けられない可能性があり、6月7日にロシア側が発 表した英国人戦闘員3人に対する死刑判決がそれに当た る。  もちろんウクライナ政府は、外国人戦闘員たちは「義 勇兵(volunteer)」として応募してきて、「無給で奉 仕する」との誓約書に署名した上で軍制下の「ウクライ ナ国際防衛軍団」に組み入れられるので、正規兵として 扱われるべきだと主張するが、ロシア側はそれを認め ず、彼らは金銭で雇われた傭兵であって捕虜として扱わ れる権利を持たないと主張している。実際には、正規と 非正規の区別はあいまいで、例えば米国はじめ世界各国 に多数生まれている「民間軍事会社(PMC)」が、言わ ば人材紹介会社の業務として軍人経験者を集め、それを 社員として派遣した場合、ウクライナの政府や軍とその 個々の戦闘員との間では直接の金銭関係が生じないの で、純粋な気持ちで応募した「志願兵」であるかに振る 舞うことができる。

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