グローバルでアクティブに投資をしているCVCランキング
シバタナオキ:では、グローバルでアクティブに投資をしている、成功しているCVCというのはどんなCVCがあるのですか?
傍島さん(以下、敬称略):まず、投資件数のランキングというのがCB Insightsの中の情報に出ています。2021年Q4と2022年Q1ということで見てみると、左側の2021年Q4はお馴染みのCVCだと思いますが、Google Venturesや韓国のKB Investment、Coinbase Ventures、Salesforce Ventures、そして日本からMitsubishi UFJ Capitalが件数ベースでは名を連ねてきました。
右側を見ると、実は2022年Q1のところでCoinbase Venturesが非常に大きく投資を伸ばしてきて、1位になってきたというような数字が見て取れると思います。
もう1つ、グローバルのトップVCというところで、CB Insights社は独自指標を持っていまして、単純に投資件数だけではなく、投資先の会社が伸びているかどうかなどを加味したモザイクスコアという独自の指標でトップVCのランキングを付けています。
こちらを見ると、1位がSalesforce Ventures、2位がProsus Venturesということで、以下、SVB Capital(Silicon Valley Bank Capital)やGoogle Ventures、Citi Ventures、Intel Capital、アメリカのこういったところが軒並み名前を連ねて頑張っているという状況になります。
シバタ:これはすごく面白いなと思いました。投資件数で見ると、最初のスライドにあった通り、Coinbase Ventures、Google Ventures、Salesforce Venturesと皆さんが聞いたことがあるアメリカのCVCが多いと思いますが、日本からもMitsubishi UFJ Capitalが入っていたり、それに韓国、香港という形でアジア系がわりと多いのがすごく印象的でした。
やはりアジア系で儲かっている会社がきちんとグローバルに投資をしているというのは、トレンドとしてはすごく面白いと思います。ただ、モザイクスコアで見るとやはりアメリカのCVCが強いという感じなのかなと思います。
傍島:そうですね。
グローバルトップCVCの成功事例と成功要因
シバタ:こういうアメリカで成功している、グローバルで成功しているCVCがいくつかあると思いますが、彼らのどういう成功事例があって、その人たちはなぜこんなにCVCとしてうまくいっているのかということを当然知りたくなると思います。
これからCVCを新しくつくられる会社さんは日本には多いでしょうし、すでにCVCを持っているという会社さんももっとたくさんいらっしゃると思います。
やはり日本も高齢化で国内の市場が伸びないという中で、やはり海外に出ていくといったときに、投資をまず最初に検討するというのはある意味合理的な判断です。そういったときにグローバルでうまくいっているCVCの成功事例と成功要因というのを、皆さん知りたいと思いますので、その辺りを全部でなくても良いので、今回お話できる範囲で、どういうCVCがなぜうまくいっているのかというのをお話いただけると嬉しいです。
傍島:そうですね。今回は2つのCVCを取り上げました。
まず、先ほど名前が出てきたCoinbase Venturesです。2022年Q1で一番投資をしているというところで、こちらのスライドに簡単にまとめました。実は2018年にできたばかりで、まだ3年ちょっと、4年目に入ったぐらいのところだと思いますが、対象はアーリーステージということで、3年間で150社ぐらいに投資をしています。
ここで言いたかったのは非常に投資スピードが速いですね。本当にすごいスピードで投資をかけているのですが、場合によってはCoinbaseの競合にさえも投資することはやぶさかではないということをこの投資の責任者が言っているぐらいです。
投資をすることによって自社のシナジーをつくるということだけではなくて、どちらかと言うとエコシステムを大きくつくりたいんだということを明確にして、投資のスピードを上げて市場を活性化しているというところが面白い特徴かなというのが1つ目のCoinbase Venturesです。
シバタ:これはやはり面白いなと思いました。主にWeb3というか、クリプトというか、暗号通貨周りのところにたくさん投資をしているイメージがあります。
約3年間で161社ということは、1年間で50社ぐらいですよね。月に4社のペースで投資をしているわけです。夏休みや12月はアメリカはほとんど動かない時期もありますので、そうすると月に平均5社ぐらいのペースで投資している感じだと思います。CVCでドメインが切れていてWeb3系しか基本的に投資しないはずですので、それで5社入れるというのは本当にすごいですよね。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)