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ポスト大阪都構想:週刊アカシックレコード220629

週刊アカシックレコード
■大阪版「幕張新都心」~週刊アカシックレコード220629■ 大阪市には24の区(行政区)があるが、「大阪24区」の区長は地元区 民に選挙で選ばれるわけではない。大阪24区の区長は、大阪市長に よって任命される、大阪市役所の職員にすぎない。 これとは対照的に、東京23区(特別区)の区長は地元区民に選挙で選 ばれる。このため、東京23区の区長は区長になる前から常に「どう すれば私の区は魅力的になるか」などと考え続けている政治家であ り、その結果として、東京23区のターミナル駅の前には魅力的な街 が出来上がっている。 いわゆる「大阪都構想」とは、「日本維新の会」の創始者(初代代 表)である橋下徹(はしもと・とおる)元大阪府知事(元大阪市長)が、 大阪24区を東京23区に負けない魅力的な都市に造り替え、東京23区 を始めとする世界各地の大都市との「都市間競争」に勝つために考 え出した構想だった。 このため、橋下は、東京23区が魅力的な都市であり過ぎるがゆえに、 巨大人口と政治や経済の諸機能が極端に「一極集中」した、自然災 害や感染症などに弱い、極端に危機管理の難しい過密都市になって いるという弱点には関心がなかった。 つまり、もしも大阪都構想を実現するための大阪市再編案が大阪市 民の住民投票で可決されて同構想が実現されていれば、現在の大阪 24区も(5つか4つの特別に再編されても)現在の東京23区と同様の極 端に一極集中した過密都市、すなわち、「もう1つの危険地帯」に なってしまう恐れがあったのだ。 橋下が大阪市長だった2015年5月、日本維新の会所属の大阪府知事 らが橋下の後継者として奮闘した2020年11月、大阪24区を、東京23 区と同じように地元区民に選挙によって選ばれた区長が治める地域 (特別区)にする再編案の是非を問う大阪市民の住民投票は二度実施 されたが、二度とも僅差で否決された。 しかし、二度目の住民投票の前、2020年4月、日本政府の中央防災 会議は今後約30年以内に高い確率で起きると予測される富士山噴火 が前回の噴火(1707年)と同規模だった場合の「降灰シミュレーショ ン」を発表した。これによって、もはや東京23区を中心とする南関 東に約3600万もの巨大人口と政治や経済の諸機能が極端に一極集中 した現状を維持するのは不可能であることが判明した。 このことは、同時に、大阪24区が東京23区との都市間競争に「不戦 勝」したことを意味する。もはや大阪の最大のライバルは、経済の 中心ではあっても政治の中心(首都)ではないニューヨークや香港の ような都市に替わったのだ(大阪市が首都になれない理由は後出)。 筆者は提案する。大阪府は大阪24区に巨大人口と政治や経済の諸機 能が極端に「一極集中」した都市を目指すべきでない。大阪府は大 阪24区の人口と諸機能を大阪24区外へ分散させ、危機管理のしやす い都市を目指すべきだ。 かつて、1975年以降、千葉県は「幕張新都心」構想を立て、東京23 区に集中した人口と諸機能を千葉市美浜区などに移そうとしたが、 お世辞にも成功したとは言えない。しかし、大阪府には千葉県には ない「強み」があるため、大阪24区外に大阪版「幕張新都心」を実 現することは可能なのだ(2022年6月29日頃配信予定)。 _ _

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