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言いすぎか!! 弁護士 北村晴男 本音を語る Vol.144

言いすぎか!! 弁護士 北村晴男 本音を語る
━=━=━=━=━=━=━=━= 言いすぎか!! 弁護士北村晴男 本音を語る ━=━=━=━=━=━=━=━= Vol.144 2022.6.30 ■□■…………………………………… 目次 ……………………………………■□■  【1】 『なぜ日本は世界の趨勢に逆行し、       「離婚後単独親権」を維持しようとするのか(前編)』  【2】 『北村晴男の"素"』  【3】 『番組出演予定       イベント情報』 ……………………………………………  【1】 『なぜ日本は世界の趨勢に逆行し、       「離婚後単独親権」を維持しようとするのか(前編)』 …………………………………………… 「共同親権」に関する試案を 「民間法制審」として高市早苗政調会長へ提出 5月31日(火)、民間法制審議会家族法制部会(民間法制審)が「中間試案」を高市早苗自民党政調会長に提出。民法を改正し、離婚後も「共同親権・共同監護」とする制度を創設するよう求めた。 「共同親権」のテーマは、今年1月30日のメルマガで「『実子誘拐』とハーグ条約 日本は『共同親権』に変えるべき」と題して発信したので、記憶されている読者の方も多いと思う。 実は、私は民間法制審の部会長を務めている。高市さんに私が「中間試案」を手渡すところが写真付きで報じられているので、ご存知の方もいるだろう。だが、多くの方が「民間法制審」と聞いても、「民間? 何をやっている団体なの?」と、キョトンとするのではなかろうか。 実際、高市さんに提出したその足で、司法記者クラブで記者会見を行ったが、新聞記者の半分ぐらいは冷ややか。「民間が勝手に『民間法制審』なんかをつくって試案を提出するなど聞いたことがない」という顔だ。 「そんなもの、何の意味があるんだ」「これが政策に反映するのか」という、当たり前の疑問を持っているようだった。 通常、法務省が提示する叩き台をもとに「法制審議会」が試案をつくる。「法制審議会」の委員は学識経験者で、法務大臣が任命。一方、「民間法制審」は国内外の研究者や弁護士でつくる民間の団体だ。 では、なぜ、我々民間法制審が急いで試案をつくるに至ったか。それは「法制審議会」家族法制部会の「中間試案」が今夏に出される予定であるものの、その内容があまりにも酷(ひど)いことがわかったからだ。  :  : 罪のない子どもが、大好きだったお父さんを嫌いにならざるを得ない。たいへん不幸な心理状態にまで追い込む。仮に両親が離婚したとしても、子どもには双方の親に成長を見守られ、温かい愛情を受けながら成長する権利がある。 だが、民法819条1項がその権利を一方的に奪っている。まさしく元凶。これが子ども視点からの悪法の意味だ。 「単独親権」は、みんなを不幸にする だが、弁護士だけは儲かる 次に、親権を奪われた親の視点で考えてみる。 愛する我が子とほぼ永遠に別れなければならなくなった人。あるいは、せいぜい数ヶ月に1回、あるいは1ヶ月に1回しか会えない人。会うときも多くの場合は「監視付きの面会」を強いられる。「面会」は身柄を拘束された被疑者などの用語だ。 犯罪者でもないのに1ヶ月に1回、2時間しか子どもに会えない。しかもそれは第三者の監視付き。そんなとんでもない不幸に追いやられる。 さらにその両親、つまり子どもからしたら祖父母だが、祖父母はほぼ永久に孫と会えなくなる。かわいい孫との絆を引き裂かれる。そこに連なる親戚も同じ。 こんな不幸をつくり出す稀に見る悪法。それが民法819条1項だ。  :  : 6月21日(火)、自民党の法務部会「家族法制のあり方検討PT(プロジェクトチーム)」が古川禎久法務大臣に提言書を提出。これは「古川法相に離婚後の共同親権・共同監護を提言」として報じられた。ほぼ我々の見解の骨子を受け入れてくれていた。講演した甲斐があったというもの。 ところが、同じ日、毎日新聞は、「『離婚後の共同親権』導入 法務省、法制審部会に提案」と題してスクープ記事を出した。これは自民党の動きを察知した法務省がリークしたものだが、「法務省だって共同親権について真剣に検討してまっせ」とアピールしたもの。我々「民間法制審」の動きを強く意識し、方向転換を図ったように仮装する、実に巧妙な法務省の動きである。彼らは、本当の意味で「離婚後共同親権」を実現するつもりなどさらさらないと思われる。

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