---------------------------------------------------------------------------------------
石川 温の「スマホ業界新聞」
2022/07/02(vol.474)
---------------------------------------------------------------------------------------
《目次》
1.au、povo、UQネットワークが大規模な通信障害
-----アメダス、ヤマト運輸などの法人回線にも影響
2. 繰り返されるキャリアの大規模ネットワーク障害
-----自己防衛対策としての「デュアルSIM」は有効か
3.アップル製品が円安影響で大幅値上げ
-----求められる「スマートフォン買いやすくする販売方法」
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記
---------------------------------------------------------------------------------------
1.au、povo、UQネットワークが大規模な通信障害
-----アメダス、ヤマト運輸などの法人回線にも影響
---------------------------------------------------------------------------------------
6月2日朝、起きてスマホをチェックしたら、アンテナピクトが0本になっていた。おかしいなと思い、一度、機内モードをオンオフしても復活せず。しかし、Wi-Fiでつなぐ分にはSNSやメールチェックができるので、特に気にしていなかった。
だが、Twitterを見ていて唖然。KDDIで通信障害が起きているという。
インターネットに関しては、Wi-Fi環境があることで、特に不便は感じない。実際のところ、アンテナピクトは0本であったが、データ通信は流れていた。途中、圏外表示になった際にはデータ通信も途切れたが、それも限定的で「au 4G」と表示されていればデータ通信は問題なかった。しかし、電話が着信できないとなると結構、厄介だ。
自分が名刺に記載し、メインの電話番号として世間に公表しているのはau回線だったりする。週末ということで仕事関連の電話はほとんどかかってこないと思われるが、一方で、テレビ局から「KDDIの通信障害についてコメント収録させてください」という電話がかかってくる可能性がある。とはいえ、このままでは着信できない。とりあえず、Twitterに「用事のある方は電話じゃなくて別手段で連絡ください」とつぶやいておいた。
KDDIは昨年、東京・多摩に新しいネットワークセンターを開設した。これまで職人技であったネットワークの管理・保守業務をすべて自動化したというのが自慢であった。
すべてを自動化したため、大阪にも全く同じネットワークセンターを開設できたという話でもあった。
記者向けの説明では「障害が起きたときはワンクリックで対処できる。システムが勝手に対応してくれる完全自動化も一部で導入」という話であった。従来は担当者がコマンドを打ち込んで直していたのを、自動化で対応できるのが特徴だったのだ。
また、3Gネットワークは特に「職人技」の積み重ねだったらしく、停波することでその煩わしさから解放されるという点も立ち話でコソッと聞いた。
自動化されたことが仇となり、逆に原因が見つけにくくなってしまったのか。それとも自動化の仕組みが入っていて、原因はわかっていても直せない障害なのか。やはり、最終的には自動化ではなく、職人の「匠の技」がなければ直せないのか。
原稿を執筆している2日13時現在、ネットワークは全く復旧していない。ネットワークセンターの人たちの頑張りに期待するしかない。
---------------------------------------------------------------------------------------
2. 繰り返されるキャリアの大規模ネットワーク障害
-----自己防衛対策としての「デュアルSIM」は有効か
---------------------------------------------------------------------------------------
過去を振り返ると、数年に一度、どのキャリアもなぜか順繰りに大規模な通信障害を起こしてきている。2018年12月にはソフトバンクが大規模な通信障害を起こしたし、NTTドコモも2021年10月に起こしたばかりだ。「今度はauか」というのが正直な感想だ。ただ、この酷暑のなか、音声通話がつながらないとなれば、熱中症で倒れても救急車が呼べないという事態に陥る。実際、この猛暑で救急車の出動件数は増えている状態だ。
また、データ通信が流れなければ、IoT機器など様々なデバイスに影響を及ぼす。実際、アメダスやヤマト運輸に影響が出ている。
キャリアのネットワークが完璧に稼働していれば全く問題ないのだが、そうは言っていられなくなってきている。もはや、ユーザー自身が、ひとつのキャリアのネットワークに依存するのは避けるように準備していくしかないのかも知れない。
iPhoneなどはデュアルSIMに対応しており、2つのキャリアのSIMカードを入れておける。povoは「ゼロ円で維持できるのでサブ回線に便利」とアピールしているが、まさに今回、サブ回線が使えない状態になってしまった。とはいえ、サブ回線をゼロ円で維持できるというのはかなり魅力的だ。
7月から楽天モバイルがゼロ円で維持できなくなってしまった。今後も、こうした通信障害が起こることが予想されるのであれば、KDDIネットワーク以外もゼロ円で維持できたほうが理想だ。
NTTドコモやソフトバンク、楽天モバイルでも、こうした非常事態時にサブ回線として維持できるようにゼロ円プランがあったほうがいいのではないか。
一時期、「どこかのキャリアのネットワークが落ちた場合には別のキャリアにローミングできる仕組みがあれば望ましい」という意見があった。しかし、仮にどこかのキャリアのネットワークが落ちた場合、そのトラフィックが別のキャリアのネットワークに一気につながると、膨大な負荷がかかってしまい、共倒れになる可能性がある。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)