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今市太郎の戦略的FX投資
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2022年7月5日号
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本邦経済界も円安の先行き見立てを間違って大損続出~為替予測は実に難しい
3月からの3か月間ドル円は過去10年ではお目にかかる
ことができないほどの円安進行を示現することとなりました。
長年年間10円から13円程度値幅で推移していたことから
個人投資家は完全にこのレベルのレンジでの取引き経験
だけが知見として積みあがってしまい、2014年に黒田日銀
総裁が自ら口にしたドル円の上限であった125.860円レベル
を抜けてからは多くのトレーダーがレベル感から逆張りを
行ってしまい、踏みあげられて折角の潜在一隅の円安チャンス
を利益に繋げられず逆に損失を被るという特別な状況が展開
することとなってしまいました。
過去20年レベルで見てもドル円の為替リスクといえば
円高にシフトすることが基本であったこともそれぞれの
トレーダーの円安に対する認識の甘さを狂わせる結果となって
しまったようです。しかしこの傾向は実は実業界にも拡大
していたようで、上場企業の決算が明らかになるにつれ、
円安の先行きレベルを見誤ってドル円の為替予約をすること
で大失敗に陥っていたことが明らかになっています。
■相場の先読みが得意なニトリでも円安を読み切れず業績低下
家具・インテリアチェーンで有名なニトリホールディングス
は決算会見において似鳥昭雄会長が為替の先行きを完全に
読み間違え、それが原因で第1四半期業績が目標を下回った
ことを認めました。ニトリといえば35期連続の増収増益を
達成し似鳥会長の経済や為替相場の見通しには経済界のみ
ならず金融市場でも大きく注目される存在となっていました。
しかし会見で似鳥会長は年後半に円高方向に反転し、8月ごろ
には1ドル=115円になると想定したようで上述の本邦
個人投資家とかなり似た動きをしていたことが見えてきます。
会見では具体的にどの為替水準で売りドル円売買をしていった
のかは明らかにされていませんが、商品を海外生産品の
輸入に頼る業界では円安によるコストの上昇を商品価格に
転嫁することはかなり難しくニトリもまさにお値段以上の
コストを受け入れざるを得なくなってしまったことを認めて
います。それでも似鳥会長は年内には円高方向に転じると
考えているようですが、それでも110円前後の水準には
戻らないとの見通しを語っています。
■メガバンク外債投資の大幅含み損にも大幅円安が影響
一方金融のプロのはずのメガバンクでも外国債券含み損は
3月末段階で日本円にして1兆7000億円を超え、昨年度
比でいえば4.7倍に急増していることが報道されています。
米債金利が大幅に上昇し債券価格が逆に大幅下落したこと
が大きな原因ですが、今回の含み損とは別にどうやら裸で
外債を購入したのではなくヘッジ付き外債としたことに
よる為替の損失が別に存在するようで実は損失の実態は
さらに深刻な状況に陥っているようです。
これが1兆7000億の上にどの位積みあがるのかは不明
ですが、昨年末や今年の年初あたりで115円から116円
であった為替水準はすでに21円近く上昇しているわけです
からある意味債券価格の下落より為替ヘッジのほうがより
深刻で含み損を飛躍的に拡大させている可能性がありそう
な状況です。JGBを買い漁る日銀は簿価で債券を評価して
いるため実質的債務超過に陥っても何食わぬ顔をしています
が、民間の銀行はそうはいかないのが実情であることも
危惧されるところです。
このヘッジ付き外債の購入に関しては金融庁がそれとなく
各行にそうした購入をすることでほぼ国内債の購入と同じ
ような効果があるのではないかと言った余分な進言をそれ
となく行ったという話もあり、地銀なども幅広く含み損を
抱えることになったのはどうやら間違いなさそうで金融の
プロの銀行であっても為替に対する見立てが全くうまく
機能していないことが浮彫になる状況です。
■過去の知見だけで為替をトレードするのは非常に危険であるということ
今回ご紹介した2つの事例は為替に関して日常的に触れる
であろう相当熟練した業界でも過去の知見を物差しにして
売買すると大失敗することを示唆しているだけに、個人
投資家もそうした知見だけで取引きしない相当な慎重さが
求められることを肝に銘じなくてはなりません。長年の
取引き経験の知見がトレードを邪魔することもある点は
あらかじめしっかり認識する必要があるということです。
巷では金融機関の為替アナリストや店頭FX業者の為替
ストラテジストなどが自分では取引きもしないのに
勝手に上だ下だと予測を繰り広げていますし、YouTube
ではさらにどこの馬の骨かもはっきしりしない自称億トレ
ユーチューバーが得意満面で勝手な予測を繰り出してい
ますが、とにかくすべてのトレードは他人をある程度
参考にするとしても鵜呑みにするのは禁物な状況です。
すべては自らの判断で売買することこそが後悔のない
トレードになることを改めて考えるべき時間帯といえます。
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