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9月23日、西九州新幹線が開業 一方で、未開通の部分も 開業ルート案も三つ存在 問われるJRの”公共”性
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JR九州は今年9月23日、「九州新幹線西ルート」と呼ばれた西九州新幹線を開業させる。5月から車両走行の試験が始まっているほか、沿線では開業を見込み開発も進む。
ただ、実際に開業されるルートは、武雄温泉(佐賀県武雄市)と長崎(長崎市)との部分開業にとどまる。九州を南北に貫く九州新幹線と接続する新鳥栖(佐賀県鳥栖市)-武雄温泉との間は、整備方式などをめぐり国と佐賀県との対立が続き、開業のめどは立っていない。
開業する武雄温泉と長崎との距離は、約66キロメートル(1)。途中新設される駅は、嬉野温泉(佐賀県嬉野市)と新大村(長崎県大村市)、諫早(長崎県諫早市)の3駅。
列車の名称は「かもめ」となった。これは、博多(福岡市)と長崎との間を走る、現在の在来の特急から名付けられた。
車両は、最新型の「N700S」をベースに、白を基調に赤のライン、黒い縁取り。デザインは、豪華寝台列車「ななつ星in九州」などを手がけた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏によるもの。
開業していない新鳥栖や博多方面へは、当面、武雄温泉と博多(一部は門司港)との間に在来線の特急「リレーかもめ」で対応する。新幹線の開通により、博多-長崎間の所要時間は、最速で約1時間20分と、従来から30分ほど短くなった。
運賃と料金については、自由席を利用した場合、長崎-博多間が計5520円。この価格は、現在の在来線特急利用料金から460円ほど高い値段となる。
目次
・残る未開通区間のゆくえは? ルート案も三つ存在
・佐賀県の反対
・問題の本質 JRは、本当に公共事業者か?
・残る未開通区間のゆくえは? ルート案も三つ存在
一方、未開業の新鳥栖-武雄温泉との間の整備方式をめぐっては、まったくもって不透明だ。
昨年、佐賀県がフル規格を前提とした三つのルート国土交通省に提示した。従来からあった佐賀駅ルート、そして新たに北回りルート、そして南回りルートを提案してきた。
ただ、このうち、国交省は佐賀駅を通るルートが「ベストな選択肢」(西日本新聞、2021年11月23日)と訴えた。
三つのルートとは、
(1)佐賀駅を経由
(2)佐賀市中心部を避け、長崎自動車道方向に迂回する「北回りルート」
(3)佐賀空港を経由し、九州新幹線筑後船小屋駅(福岡県)を結ぶ「南周りルート」
だ。
想定される建設費は、佐賀駅を経由するルートが約6200億円。
一方、北周りルートは用地買収費が安くなり、約5700億~6200億円。他方、佐賀空港を経由する南回りルートは、トンネル工事費などがかさむとし、約1兆1300億円と試算されている。
新規に提示された2つのルートをそれぞれ比較していく。
まず南回りルートで佐賀空頭と直結した場合、福岡空港の”サブ空港”としての意味合いを持たせる(2)。もともと福岡空港の発着便数は飽和状態であった。
事実、2024年度に第2滑走路を建設する計画もある。ただ、滑走路間が短いため、同時発着ができない。第2滑走路ができたとしても、現在の16.7万回から18.8万回の処理能力にとどまる。
そうでなくても、佐賀空港は福岡空港の代替空港としてチャーター便を受け入れてきた実績を持つ。ただ、佐賀空港は赤字状態が続く。
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