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週刊 Life is Beautiful 2022年7月5日号:中学生にも分かるWeb3、Play2Earnゲーム

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん 中学生にも分かるWeb3-7(メルマガ限定) Play2Earn、Move2Earn、X2Earm ゲーム Plat2Earn ゲームとは、Web3の技術を活用した「遊んで稼げるゲーム」の総称です。 ベトナムのベンチャー企業が提供しているAxie Infinityが代表格ですが、一部の国では実際にそれで生活費を稼いでいる人が現れるまでに成長し、リアルな社会経済に影響を与えています。 Play2Earn 以外にも、歩いて稼げるMove2Earn(STEPNが代表格)、眠って稼げるSleep2Earn などのバラエティが誕生しており、これらを総称して X2Earn アプリと呼びます。 結論から先に言うと、これらのアプリは、基本的に消費者の「楽して儲けたい」という欲につけ込んだポンジスキーム(後から参加した人が投資したお金を、先に投資した人に配当として渡してしまう詐欺)です。 彼らが巧みなのは、ユーザーに対する報酬を新たな暗号通貨を発行することにより行なっている点で、一見するとこの仕組みによりポンジスキームであることが分からない様になってしまう点です。 運営者は、この新たな通貨発行によって生み出される経済圏をトークンエコノミーと呼びますが、結局は新たなユーザーが永遠に増え続けない限りは成り立たない経済圏であり、本質はポンジスキームやネズミ講と同じです。 ちなみに、私はこれまで日本のITベンチャーの多くが「ガチャ」と呼ばれる弱者から搾取するスタイルのビジネスで稼いでいることを批判して来ましたが、まさにそれと同じことがPlay2Earnゲームで起ころうとしています。 ちなみに、この手の悪質なゲームを見分けるのは簡単です。「先行者利益(早く参加した人がより多く稼げる仕組み)」があるものです。 特にインフルエンサーが、私はこれでいくらいくら儲けた早く来ないと儲け損なってしまう と煽っているものは基本的に避けた方が良いし、彼らのことは信用すべきではありません。 その手の言葉の99.9%はポジショントークであり、それによって自分の先行者利益を増やそうとしている行為に他ならないからです。 日本のITベンチャーやゲーム会社の多くがこの市場に乗り出そうとしていますが、少し前のガチャの様な(弱者から搾取する様な)状況にならないか、とても心配です。 大切なことは、お金儲けではなくゲームそのものの魅力にお金を出してもらう事であり、そんなお金がちゃんと流れ込む仕組みを作った上で、ボーナスとして暗号通貨なりトークンを活用すべきだと思います。 Web1とWeb2は性欲、Web3は金欲 私は、ポンジスキームである Play2EarnゲームやDefiなどの危険性をメルマガやTwitterで繰り返して来ました。Web3にこれまでのテクノロジーの進歩とは大ききく違うものがあるからです。 その「大きく違うもの」とはお金、暗号通貨の存在です。 インターネットやスマートフォンなど、新しい技術が世の中に出て来た時には、最初は市場規模も小さいため、お金にならないのです。そのため、集まって来る人たちは、新しい物好きのエンジニアばかりで、そんな人たちが、ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返しているうちに、徐々に世の中に価値を提供するアプリケーションが現れ、その価値が世の中に認められて初めて、ようやくお金が業界に流れ込み始めるのです。 Web3の場合は、状況が全く違います。その基盤となるブロックチェーンというテクノロジーが、暗号通貨が、これまで非常に難しかった「プログラミングでお金を操作する」ことが、ものすごく容易になってしまったのです。 そのため、従来型のイノベーションと異なり、最初から金融系の人々がたくさん参入して来てしまったのです。それでも IOC ブームのころは、まだ業界も手探り状態で、いいかげんなものも多かったし、あらかさまな詐欺も横行していました。 しかし、最近の DeFi や GameFi の背後には、ヘッジファンドやインベストメントバンクで鍛えられたプロのファイナンシャル・エンジニアがおり、彼らが作り出す様々な「金融商品」は、「ポンジスキーム」と「魅力的な金融商品」の境目を曖昧なものにし、それが Web3 の世界を「お金が先にある」不思議な業界にしてしまっています。 そんな事情もあるため、Web3ベンチャーには、「Web3時代のGAFAを見つけ出そう・作ろう」という大量のお金が流れ込んでいますが、そこには「GAFAによる独占を許してしまったWeb2.0」への反省から生まれた「非中央集権化」のムーブメントとは自己矛盾を起こしている、という興味深い状況にあります。 ちなみに、インターネットの普及(Web1.0)に置いては、アダルト・コンテンツが普及に重要な役割を果たしたことが知られています。VHSテープやDVDの普及と同様です。また、ソーシャルネットワーク(Web2.0)の普及においては、男女の出会いが重要な役割を果たしました。その代表格であるFacebookも、元はと言えばハーバード大学の中で、ボーイフレンド・ガールフレンドを作るためのツールとして作られたことは有名です。 その観点からすれば、Web1.0とWeb2.0は、人間の性欲が普及に重要な役目を果たしましたが、Web3の場合は、人間の金欲が重要な役目を果たしたと言えると思います。 The Merge、レイヤー2 現時点の Ethereum は、高価なガス代(手数料)とスケーラビリティ(大量のトランザクションを同時に処理する能力)の欠如が問題と指摘して来ましたが、その問題の解決に向けた重要なステップが、「The Merge」と呼ばれる Ethereum のProof of Workから、Proof of Stakeへの移行です(イーサリアムの「The Merge」とは?)。 Proof of Work は、Bitcoinを作った Satoshi Nakamoto の発明で、これはそれまで不可能とされていた分散台帳を可能にしましたが、「マイニング」と呼ばれる計算を世界に100万台以上あるマイニングマシンで行う(計算資源の提供)必要があるため、莫大な電力を必要とする点が、環境への影響が大きな懸念となっています。 そこで考えられたのが、Proof of Stakeと呼ばれる手法です。Proof of Stakeにおいても、世界中のコンピュータでマイニングに代わるバリデーションという作業が必要ですが、マイニングと比べて、はるかに計算量が少ないため、環境への影響は少ないとされています。 Proof of Stakeへの移行は、非常に複雑な作業で、当初の予定よりも大きく遅れています。今年の初めには8月には行われると言われていましたが、今では第4四半期にずれ込んでいます。 Proof of Stakeへの移行後に予定されているのが、Ethereum のスケーラビリティを向上されるシャードチェーンが予定されており、さらに、その上に作られるレイヤー2のチェーン(レイヤー1である Ethereum のセキュリティを活用しながら、効率的にスマートコントラクトを実行するブロックチェーン)と共に、Ethereum の抱えるガス代とスケーラビリティの問題を解決すると期待されています。 On-chain Asset Storeプロジェクト 少し前に、Web3の魅力は、ブロックチェーン上にデプロイ(スマートフォンアプリの場合はアプリは「インストール」するものですが、ブロックチェーンアプリの場合は「デプロイ」するのです)したソフトウェア(スマートコントラクト)が誰の助けも借りずに永続的に動き続ける点でであると指摘しました。 つまり、開発者として、私がやるべきことは「世の中に価値を提供し続けるスマートコントラクトを後世のために残すこと」しかない、という結論に至りました。 この重要な事実に気がついて以来、モチベーションは上がりっぱなしで、色々と考えて来たのですが、まず最初のプロジェクトとして立ち上げたのが、On-chain Asset Store です(実は、先週になって急遽、日本に行く必要が生じ、シアトル→成田便の中に9時間閉じ込められている間を利用して、大半の実装を行いました)。

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