■理解力に必要なアプローチ
理解力を高めることだ。理解力とは「理解したつもり」という壁を
乗り越えて、深みへと踏み込む力だ。理解したつもりになったら、
そこで理解力の伸びは頭打ちになる。
理解力を磨くことは、仕事や勉強、人間関係におけるパフォーマン
スを高めることだ。ひいては、人生のクオリティーを高めることに
ほかならない。
仕事のできる人になりたいなら、対人コミュニケーション力を高め
たいなら、何はともあれ理解力に磨きをかけることだ。その能力を
高めれば、人生全般に大きなリターンをもたらすはずだ。
★
人は「理解の箱」を使って、物事を理解していく。たとえば、映画
を見る時には、その人の頭の中にある「理解の箱」を使ってその作
品を理解する。
「ストーリー」という箱しかない人は、ストーリーが「ある・な
し」「おもしろい・つまらない」という点を基準に、その作品を楽
しんだり評価したりしている。
一方「感情描写」や「社会問題」などの箱を持つ人は、ストーリー
が平凡でも「感情描写」という箱で「相手を殺した加害者の気持ち
もわかる」という感想が持てる。
あるいは「社会問題」という箱において「刑期を終えた犯罪者に厳
しい日本社会の縮図が描かれていた」という感想を述べることがで
きる。
よく「見方が深い・浅い」などと言う。その多くが「理解の箱」の
種類が「多い・少ない」の差だ。「理解の箱」の種類を増やすこと
なく、理解力を高めることはできないのだ。
★
理解する上で最大の敵は「理解したつもり」という状態だ。真に理
解力が高い人ほど「理解できていない状態」から「理解した状態」
に移ることで安心・満足しない。
いつでも「より深く理解したい」という気持ちを持っているのだ。
その貪欲さが「多角的に見る目」や「掘り下げて考える目」を養い、
新たな「理解の箱」を生み出していく。
理解力を高めたいなら、いつでも「理解したつもりになっていない
か」自分に問いかけるクセをつけるべきだ。まだ見えていない理解
が存在することを知ることが「理解の箱」を増やす第一歩なのだ。
★
物事を理解する主なアプローチには「聞く」「読む」「体験する」
「思考する」の4つがある。それぞれのアプローチで理解しようと
している自分を自覚することで、理解力を伸ばしていける。
1つ目は「聞く」だ。聞くことは、理解において最も重要だ。人は
話を聞きながら、同時に「理解」を深める。なお、聞く時の理解を
サポートするのが質問だ。人から情報を引き出す強力な助っ人だ。
2つ目は「読む」だ。話の結論や大枠は序盤、具体的な事例やデー
タは中盤、今後の展望・展開は終盤のようなセオリーを知っている
だけでも、意識するポイントが変わり、読解力が高まるはずだ。
★
3つ目は「体験する」だ。もっともパワフルなアプローチだ。体験
したことは印象や記憶に残りやすく、脳内ライブラリーからも消去
されにくい。アウトプットにも重みや深みがある。
4つ目は「思考する」だ。思考による理解とは、言い換えれば「自
発的な気づき」だ。偶然で起きることもあるが、能動的に問いを持
てば、より起きやすくなる。「問い」は思考を動かす呼び水なのだ。
どのアプローチで理解する場合も、自分がその情報を何に活かすの
かを明確にすべきだ。それが明確なら、インプットの際に情報の取
捨選択がしやすくなる。また、足りない情報にも気づきやすくなる。
新たな情報に触れた時は、脳内ライブラリーにある「理解の箱」と
の関連性を考えるべきだ。「○○と同じ箱に入れよう」「新規の箱
を作ろう」などの判断がしやすくなるからだ。
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