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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 133
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、セルフレジコンビニ「便利蜂」(ビエンリフォン)についてご紹介します。
便利蜂は無人コンビニではなく、スタッフが常駐をしていますが、レジや接客業務はしません。商品管理に専念をします。来店客は自分で商品を取り、専用アプリでバーコードをスキャンして決済するか、セルフレジでまとめて決済をします。
便利蜂が特徴的なのは、AIを徹底活用し、店舗内の業務を400ほどの標準作業手順に整理し、必要な作業をAIが店舗スタッフに指示をしていくという点です。
さらに、商品の味付けなどもAIが分析をして決定しています。人間が判断をしなければいけないことはほとんどありません。
便利蜂では、セブンイレブンの店長経験がある10人と、便利蜂が開発したAIシステムでコンビニ経営対決を内部実験として行いました。その結果、AIが圧勝をし、それ以来、徹底したデータ駆動経営を進めています。これにより、わずか5年で2800店舗を展開するという急成長を遂げました。
しかし、ここにきて、店舗閉鎖、賞与カット、リストラが始まり、成長が止まっています。理由はデータ駆動経営の限界です。
人とAIは対立をするものではなく、強調をすべきものですが、この協調が簡単ではありません。AIを徹底活用してきた便利蜂は、今後はこの「AIと人との協調」を模索していく必要があります。
今回は、データ駆動経営を徹底させたコンビニ「便利蜂」についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 133
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▼目次▼
データ駆動経営の成長と限界。人とAIは協調できるのか。AIコンビニ「便利蜂」の挑戦
小米物語その52
アリババ物語その52
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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データ駆動経営の成長と限界。人とAIは協調できるのか。
AIコンビニ「便利蜂」の挑戦
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今回は、AIコンビニ「便利蜂」についてご紹介します。
北京を中心に2800店舗を展開するコンビニチェーン「便利蜂」(ビエンリフォン)は、徹底したデータ駆動経営をすることで、創業わずか5年で2800店舗という急成長をしたコンビニです。
そのデータ駆動経営ぶりは徹底をしています。店舗スタッフには専用のタブレットが渡され、そこにやるべきタスクが通知されてきます。便利蜂では、すでに店内の業務を約400のSOP(Standard Operating Procedures、標準作業手順)に整理されていて、必要に応じて、どのSOPを行うべきかの指示が入ってきます。
すべてのSOPには標準時間も定められていて、タブレットはカウントダウンを始めます。スタッフは指示通りの仕事を時間内に終えて、終了したことを示す写真を撮影し、報告を行います。スタッフは毎月、タスクの消化率などで評価され、給与などが改定されていきます。
便利蜂では、自分でどの仕事をすべきかを判断することはありません。すべてAIが判断をして人に命じてきます。多くの人にとって、ゾッとしない仕事かもしれませんが、逆に考えれば言われたことだけをこなせばいいので、ある意味楽な仕事なのかもしれません。
店舗スタッフは接客もしません。来店客は基本はセルフレジで自分で商品のバーコードを読み取らせてスマホ決済をします。または、専用アプリがあれば、商品棚から商品を取ってバーコードをスキャンして決済することもできます。万引きが簡単にできてしまうように思えますが、店内には防犯カメラが設置されていて、AIが画像解析により、決済をせずに商品を持ち帰ったことを検知します。万引きをした客は、アプリ経由で請求を受け、それに応じないとアカウントがバンされ、アプリの利用もセルフレジの利用もできなくなる仕組みです。
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