第157回 一度きりの青いピル(1997年7月4日)
14歳のある日,
「明日から別の人間になる!二度と後悔しない人生にする!」
と決意し,その日から一度も後悔したことはありません。
後悔しないために必要なことはたったひとつ。
人生の岐路に立ったときには躊躇なく赤いピルを選ぶことです。
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第5回 覚醒(1973年)
私は14歳のある日,突然目覚めました。
「MATRIX」という映画をご存じでしょうか?
私にとって,封切りで3回見たのはこの映画だけで,DVDでも10回以上見ました。
(この文章を書いたあと,さらに10回以上見ました。)
主人公トーマス・アンダーソンはソフト会社に勤める表の顔とスーパーハッカー,ネオという裏の顔持ち,1990年代を刺激的かつしたたかに生きている青年です。
ネオは生々しい夢をたびたび見るようになり,その後,伝説的な人物であるモーフィアスに出会います。
モーフィアスはネオの前に青いピルと赤いピルを差し出し,こう言います。
「どちらかを選びなさい。青いピルを選ぶと明日の朝,自分のベッドで目覚めることができる。赤いピルを選ぶとワンダーラン
ドに旅立つことになる。後戻りはできないから慎重に選ぶんだよ。」
ネオはすぐに赤いピルを選んでそれを飲む。
次に目が覚めたときは培養液の中で,全身に電極がつながれている。
ネオは生まれてからずっとカプセルの中にいて,発電のために電気的な刺激を与えられ,夢を見せられていただけでした。
カプセルの中で目覚めたネオは不良品として捨てられ,待ち構えていたモーフィアスたちに助けられます。
そして,モーフィアスたちとともにコンピューターによって支配されているシステムと戦うことになります。
(中略)
14歳で覚醒した瞬間から大学に入るまでの5年間が私の人生のどん底でした。
いつも強烈な孤独感にさいなまれていました。
14歳のとき,初めて赤いピルを選んで以来,私は常に赤いピルを選び続けています。
でも,正直に告白すると一度だけ青いピルを選んだことがあります。
後悔はしていません。
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