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vol.134:中国で始まっているメイカーの時代。中国ITの強さの秘密はアジャイル感覚

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2022/07/25
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 134 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、中国のメイカーを2人ご紹介します。 2人ともびっくりするようなプロダクトを1人で開発をして、それを動画共有サービス「ビリビリ」で公開をしています。日本的に言えば、開発系ユーチューバーということになります。 最初にご紹介する何同学は、デバイスをどこに置いてもワイヤレス充電ができるAirDeskをつくりました。彼の手法は「モノのアジャイル開発」です。とにかくつくってみて、使ってみて問題点を洗い出し、次のバージョンを開発する。まるでソフトウェアのようにモノのプロダクト開発を行なっていきます。 もう一人ご紹介する稚暉君は、倒れずに自走する自転車を開発します。AIによる姿勢制御が必要になる開発です。部品も3Dプリンターで出力をしてつくります。彼の開発手法は、「わからないことはネットで調べる」です。稚暉君はファーウェイの本職の研究エンジニアですが、いくら優秀だと言っても、幅広い知識と経験があるわけではありません。でも、ネットで調べれば、その知識や技術を使った開発ができるのです。 つまり、開発というのは、もはや1人でも自宅できる仕事になっているのです。これがメイカーです。 今回は、中国で始まっているメイカーの時代をご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 134 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ 中国で始まっているメイカーの時代。中国ITの強さの秘密はアジャイル感覚 小米物語その53 アリババ物語その53 今週の「中華IT最新事情」 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 中国で始まっているメイカーの時代。 中国ITの強さの秘密はアジャイル感覚 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、中国のメイカーを2人、ご紹介します。 メイカー(Maker)というのは発明者、開発者という意味です。モノをつくる人のことです。例えば日曜大工をする人もメイカーですし、大手テック企業で働くエンジニアもメイカーですが、このメイカーという言葉には1人または少人数で開発を行い、趣味として楽しむだけでなく、ビジネスに着地させるというイメージがあります。スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、その仲間たちが集まって、スティーブ・ジョブズの家のガレージでワンボードマイコン「Apple I」をつくっていた様子がメイカーそのものです。 いろいろな時代区分の考え方がありますが、私たちは今、第2次産業革命の世界に生きているとみなす考え方があります。第1次産業革命は教科書に書いてあるように蒸気機関の発明です。これによりパワフルな動力を使えるようになり、大規模な製造機械が出現し、職人から工員へ、工房から工場へという変化が起こりました。 しかし、これはメイカーの視点では、仕事を大資本に奪われてしまったことになります。それまでの職人というメイカーは、小さな工房で少人数で食器や日用品をつくっていました。大量生産の工場が登場すると、製造量、製造コストとも太刀打ちができなくなります。 しかし、第2次産業革命が起こり、再びメイカーが活躍できるようになります。第2次産業革命は半導体の発明です。基盤に半導体を並べるだけで、コンピューターやゲーム機が作れるようになり、スティーブ・ジョブズたちのようなガレージのメイカーが出現してきます。 ところがこれもあっという間に産業化されていきます。もはやデバイスのハードウェアとソフトウェアを1人で開発するなどということは不可能になっています。再びメイカーの居場所がなくなってしまいました。 今、第3次産業革命が起きています。第3次産業革命は3Dプリンターの発明です。これにより、機械部品は自宅で製造ができるようになりました。再び、1人でプロダクトを開発できるメイカーの時代がやってきています。もちろん、量産をして販売をするにはさまざまな問題がありますが、それは量産段階で考えればいいことで、1人でも新しい製品を発明したり、開発したりすることができる時代になっています。 しかし、本当に1人では起業をすることはできません。プロダクトができても、それだけではビジネスにはならないからです。一般に、起業をするには、技術、資金、営業の3つの機能が必要になります。初期のアップルもウォズニアックが技術、マイク・マークラが資金、ジョブズが営業という役割分担がありました。

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