メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

小松成美の伝え方の教科書 vol.30「一流のインタビューから学ぶ、坂本龍一の心揺さぶるストーリーテリング」

小松成美の伝え方の教科書-ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術
「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」 vol.30「一流のインタビューから学ぶ、坂本龍一の心揺さぶるストーリーテリング」 【今週の目次】 ============== 1.成美のつぶやき └取材予定だった安倍晋三元首相 └通称「安倍ノート」に込められた安倍さんの思い └安倍晋三と菅義偉の信頼関係 └支持者10%からの逆転劇。裏にあった二人の絆とは? └安倍晋三が描いた夢の続き 2. 一流のインタビューから学ぶ、坂本龍一の心揺さぶるストーリーテリング └とんがった気持ちから始まったYMO時代 └伝わるストーリーの伝え方 └影響を受けた父は、出版界の伝説の人!? └自分を信じて駆け抜けた映画音楽 └2週間で作った「ラストエンペラー」の音楽 └作曲するように言葉を紡ぐ 3.小松成美のオススメの〇〇!!4.小松成美の質問コーナー 5.お知らせ ============== 1. 成美のつぶやき みなさんこんにちは。 盛夏を迎え暑い日が続いていますがいかがお過ごしですか。 新型コロナウイルス感染はこれまでにない拡大を見せています。その要因の1つとされているのは、オミクロン株の亜種「BA.5」です。全国的な感染爆発に、夏休みを心から満喫できる状況にはないですが、感染予防をしながら社会活動を行うwithコロナの生活を堅持していくしかないでしょう。 私自身、以前にも増して手洗い・うがい・手指の消毒・換気などの基本的な感染対策に気を配るようになりました。何より、第7波で再び過酷な現場に置かれている医療従事者の方々に感謝の念を大きくしています。 取材予定だった安倍晋三元首相 こうした中、今月は国民を震撼させる悲劇が起こりました。参議院選挙2日前の7月8日に奈良で起こった安倍晋三元総理の銃撃事件です。安倍元総理の死去の衝撃は、今もなお収まることなく広がっています。 2020年9月16日に総理を辞任した安倍さんの総理通算在任日数は3188日。第2次安倍政権が発足して退任までの日数は2822日で、これは日本の憲政史上最長のものとなりました。そうした国のリーダーの逝去を、私もまだ受け止められずにいます。 実は、私には安倍さんの取材の予定がありました。政治やイデオロギーとは無縁なインタビューで、テーマは安倍さんが当選2年目から続けているある活動についてでした。 その活動とは、アジアの国々に小学校を作り贈呈する、というもの。安倍さんと当選同期の山形県選出・遠藤利明さんが、1997年に議員仲間を誘って、それぞれのポケットマネーを毎月1万円ずつ積み立てながら、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイなどの学校のない地域に、小学校を建設してきました。その「アジアの子どもたちに学校をつくる議員の会」で、安倍さんは長年、会長を務めていたのです。 25周年を迎えた「アジアの子どもたちに学校を作る議員の会」では、現在20校目となる小学校を建設中で、安倍さんには、これまで外に向けて話したことのなかったこの活動の様子と、アジアの子どもたちとの交流について伺うことになっていたのです。 取材のために準備した資料を眺めながら、未だ呆然としています。 安倍さんのインタビューを楽しみにしていたのは、私がこれまで取材した方々から安倍さんの人柄、政治家としての信念を伝え聞いていたからでした。今回の「成美のつぶやき」では、私が心に留め置いた安倍さんのエピソードをお伝えしたいと思います。 通称「安倍ノート」に込められた安倍さんの思い 私が出版界で最も尊敬する編集長・花田紀凱さんからは、いつも安倍さんの人となり、素顔を聞いていました。 「小松さん、安倍さんほどスピーチが上手な人はいないですよ。どんな時にもユーモアを忘れず、緊張の場を一瞬で和ませてしまうんです。あのチャーミングな話術は、他の人にはできません。それにね、あれだけの経歴を持ちながら、腰が低く誰にでも笑顔を絶やさない。僕は、政治家でなく安倍晋三という人間が大好きなんです」 花田さんからこの話を伺ったのは、先月のことでした。 その花田さんは、「安倍さんについて、絶対に叶えたい夢がある」と私に話していました。 「安倍さんが書いていたノートがあるんですよ。勉強したことや、出会った人たちの言葉、自身の考えなど何冊ものノートに書き綴っていたそうなんです。通称『安倍ノート』。僕はそのノートをまとめ、本にして出版したいと思っているんです」 そのノートのことは、私も以前に聞いたことがありました。 2度目の総理大臣になった少し後のことです。私はドトールコーヒーの創業者で名誉会長の鳥羽博道さんにお会いし、お話を伺う機会を得たのですが、その際に「安倍ノート」の存在を知ることになりました。 同郷である実業界の先達・渋沢栄一への憧憬や、青年時代に渡ったブラジルのコーヒー農園での苦難の日々について語ってくださった鳥羽さんは、話の最後に安倍さんのことを話してくれました。そこでノートのことが飛び出したのです。 「ところで、小松さん、再び総理になった安倍晋三さんですが、私は彼ほど勉強熱心な政治家はいないと思っているんですよ。実は、病気で総理を辞した後に、安倍さんは1人で私を訪ねて来られたんですよ。初対面でしたが、とても闊達に私にこう言ったんです。『鳥羽さん、今の日本に必要なことは何ですか?何が足りませんか?実業のこと、経済のこと、その他何でも、こんなところがおかしい、ここはこうした方が良い、と思うことがあれば、どんなことでも教えてください』 と頭を下げられた。そして、安倍さんは、私の目の前で大学ノートを開きました。私が申し上げたことを、そのノートにどんどんと書き込んでいくのです。いくつか質問もして、私がそれに答えると、またノートに全てを綴っていました。『何人もの経営者にお会いして教えを請うているんです』と言っていた安倍さんは、そのノートを抱えて帰っていきました。私は時折その安倍さんの姿を思い出し、今も安倍さんの国を思う力に胸を熱くしているんです」

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 小松成美の伝え方の教科書-ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術
  • これまでノンフィクション作家として、たくさんのトップアスリートやトップ経営者の唯一無二の「人生」を取材してきました。その経験をもとに、書籍だけでは書ききれなかった小松成美流のコミュニケーション方法や独自哲学を伝えていきたいと思います。経営に、スポーツに、文化に。多岐に渡って、学びあるコラムを配信して参ります。誰もが発信者となる時代に、是非ご参加ください。
  • 880円 / 月(税込)
  • 第2、第4火曜日(年末年始・祝祭日除く)