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脆い韓国「半導体神話」、先端分野世界シェア「3%の壁」

勝又壽良の経済時評
  • 2022/07/28
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世界戦略で右往左往 圧倒的な「チップ4」 新政権は積極姿勢へ 協調し新分野を育成 韓国半導体は、メモリーと非メモリー(システム半導体)を合計すると世界2位だが、メモリー分野では56.9%のシェア(2020年)を占めている。むろん、世界一の「強国」である。だが、先端分野の非メモリーでは、たったの2.9%のシェア(同)に過ぎない。恥ずかしくて、とても「半導体強国」とは言えないのだ。 なぜ、このようなアンバランスな発展をしたのか。それは、韓国半導体の歴史にある。日本の半導体技術者が毎週、土日の休日を使ってソウルへ行き「アルバイト指導」した結果だ。サムスンは、こういう違法な形で日本の半導体技術を窃取した。これは、私がサムスン創業者の李秉喆(イ・ビョンチョル、1910~87年)から、日本の私的会合で直接聞いた話である。間違いはない。 一回の出張料は、1ヶ月の月給に匹敵したという。月に4回サムスンへ出向けば、一ヶ月で実に4ヶ月分の月給に匹敵するアルバイト収入が、「無税」で日本の技術者の懐に入った勘定である。日本の給料を含めれば、1ヶ月で5ヶ月分の収入になった。札束で頬をひっぱたかれた形だった。 日本の技術者の懐は大いに潤ったが、日本の半導体産業は後にメモリー分野で韓国に圧倒されることになった。ただ、日本の技術者は非メモリーの技術を教えることはなかった。こうして、韓国は、先端半導体であるシステム半導体を自力で開発せざるを得ず、その結果が世界シェア3%に止まっている背景だ。 韓国半導体は、歪な形で発展してきただけに、「半導体神話」などと仰々しく言えるはずはない。現実に、非メモリーでは台湾企業に大きく出遅れている。97.1%は台湾企業の世界シェア(2020年)だ。メモリー分野でも、中国が「ロウエンド」(低級品)分野のシェア向上を狙って、巨額投資を行なっている。世界中から中古の「ロウエンド」半導体製造装置を買い集めているのだ。韓国は将来、メモリー分野で競合しかねないだけに、安閑としていられないだろう。 世界戦略で右往左往 サムスンは、労せずして半導体技術を手に入れたが、今後の世界戦略はそのような簡単なものではない。米中対立が鮮明になる中で、韓国の半導体を自陣営に引入れる綱引きが行なわれている。米国が「チップ4」(日本・韓国・台湾・米国)構想を打ち出しているからだ。韓国は、これまで中国が最大の輸出先であることから、中国の呼びかけをむげに無視もできず心は千々に乱れている。だが、米韓という軍事同盟の建前から、米国の要請を断るわけにいかないのだ。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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