第567号
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岩上安身のIWJ特報!
「長期化するウクライナ紛争~米国の代理戦争の代償」「米ドルの黄昏とアテナ
イ覇権喪失の教訓」(第4回後半)
岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー
(その2)
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(その1)の続き
岩上安身による5月30日のエコノミスト・田代秀敏氏へのインタビュー後半「
米ドルの黄昏とアテナイ覇権喪失の教訓」の(その2)である。
・田代秀敏氏(IWJ撮影)
https://bit.ly/3Sbc54D
田代氏は、「民主主義」の祖と言われるアテネが、対ペルシャ戦争の同盟国を
属国化し、抵抗するポリスにはきわめて過酷な仕打ちをする「帝国」の「元祖」
だったことを、様々な資料をもとに解き明かしていく。
ペルシャの再侵攻に備えて同盟都市から集めた拠出金をアテネは独占。あのパ
ルテノン神殿は、その防衛費の金庫だったという。
アテネは、都市国家による安全保障の同盟を利用してアテネ中心の、現代でい
う「TPP」を完成させ、海外から農産物を調達、巨大な人口を扶養した。
「基軸通貨」もアテネの貨幣に統一を図る。当初アテネでは、貨幣を流通させ
るために、人の集まる裁判所や劇場で銀貨を配布し、貨幣専用の市場で使わせた
。その結果、小作料まで硬貨で払われるようになり、銀行ができ、投資や信用取
引もスタートしたという。
覇権を握ったアテネは、他の都市国家に対し、アテナイ銀貨使用を強制する「
貨幣統一令」を発布。この自国で作った法律を外国に適用する極めて強引なやり
方に関し、田代氏は「アメリカはこれ気取ってる」と指摘し、民主主義発祥の地
は「帝国主義発祥の地」でもあったと述べた。
アテネは、その海軍力で他のポリスを屈服させ、大多数のギリシア諸都市がそ
の「貢献国」となる。抵抗する都市は包囲されて虐殺の憂き目にあうか、賠償金
の支払いが課せられたという。
田代氏は、古代ギリシャの戦争史の大家、ヴィクター・ハンセン元カリフォル
ニア大学教授がアテネを評した「何をしでかすかわからない気まぐれな民主制は
死をばらまく戦争屋である」という言葉を紹介する。
この「戦争屋」アテネを、岩上が「まさに近年のアメリカの姿…て言うか、戦
後ずっとかも」と評すると、田代氏は「いや、最初から」と応じるのだった。
(記事目次)
◆パルテノン神殿は防衛費の金庫だった!? ペルシャの再侵攻に備えて同盟都市
から集めた拠出金をアテネが独占!
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