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聖地学講座第243回「日本の風水について」

レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」                 vol.243 2022年8月4日号 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆今回の内容 ○日本の風水について  ・風水とは  ・中国風水に四神相応はない  ・鬼門と裏鬼門の創造 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本の風水について ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  最近、日本仏教について勉強しなおしているのですが、そこで強く感じているのが、これに、はたして「仏教」という言葉を当てはめていいのだろうかということです。  「仏教」とはいっても、日本のものはインドで発祥した大元の仏教とも違うし、それが伝播していって体系化された中国のものとも、さらには中国とは異なる経路で伝播して発展したチベットや東南アジアのものとも異なっています。  私もよく使う「神仏習合」という言葉がありますが、これは通常は、日本に古来からあった神道的な自然信仰が外来の仏教と結びついて、相互に入り組み、また補完し合ったものといった意味で用いられています。  しかし、そもそも「神道」と呼ばれるような体系や観念も、仏教伝来以前にはなく、今で言う神道的な「自然信仰」あるいは「土俗信仰」が体系化されずにモザイクのようにあったというのが本当のところで、体系的で洗練された宗教である仏教が入ってきたことによって、カオス的なその日本の自然信仰が整理されて、徐々に神道という形を成していったといえるのです。そして、それが本来の神仏習合の意味なのです。  「日本人は、外来の文化や技術を取り込んで、独自のものにするのが上手だ」とよく言われますが、その性質は古代からのもので、八百万の神のるつぼの中に仏教を積極的に取り込み、その力で神々を練り上げつつ、同時に仏教自体も「日本仏教」という形に変形していったといえます。  平安時代初期には、最澄の天台密教や空海の真言密教が、密教の本場であった中国ではそれが廃れていったのと反対に、日本独自の呪術性や政治性を強めたものととして確立されます。さらに、鎌倉時代になると、後に「鎌倉仏教」と総称されるようなニューウェーブがどんどん立ち上がり、仏教思想の根本までもが日本オリジナルに改変されました。  そうした仏教の変化とともに、「神道」も日本化していく仏教に強く影響されながら、ときに混交し、逆に仏教から遊離していこうという流れも出ながら、たとえば、中世の吉田神道から近世の国学をベースとした国家神道のようなものまで登場してきました。  そうした変遷を概観すると、古代から変わらない確固たる「仏教」や「神道」といったものがあったためしはなく、時代とともにダイナミックに変遷してきたものであるということがよくわかります。それは、仏教や神道に限ったことではなく、一般に「伝統」と呼ばれるもの、あるいは「日本的」なるものなどにも当てはまり、それらが絶えず外部の影響を受容して変わってきたことがわかります。  そうした外部の影響を受けて変遷や変化を繰り返してきたものなのに、ある部分だけ、あるいは歴史上のある観点だけを切り取って、それが日本古来のものだと信じてしまうのが、また日本的なところでもあります。  たとえば、日本神話は類型的には東アジア神話の一系統であり、ステレオタイプな構図やエピソードがたくさん盛り込まれています。アマテラスが金光明経で表現されているブッタの姿を援用したものであるように、仏教の仏を神に仕立てたものも多いのですが、これを、まったく日本独自のものと思い込んでいたりするわけです。  この聖地学講座では、そうした「日本的」な思想風潮といったものにも焦点をあてていきたいと思いますが、それを総論で語るのは難しいし、また一度や二度で追い切れるものでもありません。むしろ、各論的に考察したほうが具体的でわかりやすいかと思います。  そこで、今回は、そんな各論の一つとして、「風水」を題材に掘り下げてみたいと思います。

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  • レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
  • 聖地と聖地を結ぶ不思議なネットワーク"レイライン"を長年追い続けてきたレイラインハンター内田一成が、聖地の成り立ちから、人と聖地の関係、聖地の科学を解説。聖地の作り方まで考察していきます。「パワースポット」という現象も、主観にとらわれず、多角的に分析していきます。また、各回、実際のフィールドワークのこぼれ話などもご紹介します。
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