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【Vol.441】冷泉彰彦のプリンストン通信『台湾に関する考察』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「保守派の正体はノンポリ守旧派?」  私は今でも、安倍氏の逝去を悼み、その痛苦に満ちた亡くなり方に限りな く哀悼を捧げる者ですし、同時に世界の指導者が集う国葬という形で、国に 殉じた方を葬送するのは最低の礼儀だと思っています。  けれども同時に、安倍元総理の遭難という悲劇は、結果的に日本の保守勢 力が思想的にも金銭的にも外国勢力に侵食されているということを明らかに してしまいました。カネの流れというと、否定する向きもあるかもしれませ んが、あれほど大量のボランティア動員というのは、経済的な価値は計り知 れないわけで、勿論、厳しい断罪を受けるべきと思います。  しかしながら、このことを考えると、長年の疑問が氷解するのを感じます。 ・どうして日本の保守派は夫婦別姓にあそこまで抵抗したのか?例えば通称 として旧姓で活動していた政治家まで反対していたのは、日本には戸籍教と でもいうべき宗教があるのか? ・どうして日本の高齢者は、子どもへの性教育に反対するのか?孫世代の性 的成熟は、そのまま自分の子孫繁栄につながるはずで、それよりも無垢な愛 情と依存の対象として孫の成熟を拒む心理があるのか?  この2つは長い間疑問でした。本当に不可思議であり、しかも大正世代な らともかく、団塊の世代、つまり全共闘やフォークロック、グループサウン ズの世代が、いくら歳を取ったからといって、こうしたイデオロギーにかぶ れるというのは、納得ができないと思っていたのです。  ですが、今回の経緯を見ていて、結局のところこうした「保守イデオロギ ー」というのは、保守心情の延長に自然に発生したものではなく、外国勢力 がその歪んだ世界観の一部を押し付けてきたという説明が可能ということに 気づきました。  長年の疑問が氷解・・・とまで行かないのですが、相当程度にはこの影響 があったとするならば、納得できると思ったのです。夫婦別姓反対や性教育 反対というのは、やはり日本の世論を操作するテクニックの一つとして使わ れたスローガンなのだと思います。  仮にそうだとしたら、日本の保守イデオロギーというのは一体何なのか?  この問題が改めて疑問として浮かび上がってきます。まだ答えはありません。 ですが、一つだけ絶望的な仮説があります。それは、日本の保守イデオロギ ーというのは、国家観や人生観というような抽象的なものではなく、核にあ るのは既得権益を守りたいとか、変化を許したくないといったノンポリの守 旧派的な態度なのではないかという仮説です。  保守というのは、少なくとも日本の場合は左派よりは構造改革にも賛同す る合理性を持っていると思いますが、それでも改革には魂の部分で賛同して いない、そこで経済合理性には「付き合う」ものの、どこかで守旧派的な心 情がダダ漏れしてしまうのだと思います。そこを外国勢力に付け込まれてコ ントロールされていたとしたら、悲劇もここに極まったという感じがします

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  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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