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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 136
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、生鮮ECの黒字化問題についてご紹介します。
生鮮ECについては、ご説明はもはや不要だと思いますが、白菜や豚肉といった生鮮食料品をスマートフォンから注文すると、30分で配達してくれるというサービスです。リーダー企業は毎日優鮮、ディンドンの2社で、すでに昨年、それぞれ米ナスダック、米ニューヨークに上場をしています。
しかし、両者とも株価の低迷が続き、毎日優鮮について倒産危機の報道も出ています(毎日優鮮は否定)。
このような事態になっている最大の理由は、そもそも生鮮ECというビジネスモデルが黒字化が可能なのかという疑問が指摘されているからです。
生鮮ECは、短時間配送を実現するために、配送地である住宅地の中に前置倉と呼ばれる分散倉庫を配置します。そこから配送をすることで短時間配送を実現していますが、この前置倉の運営コストを抑えることができず、黒字化ができないビジネスなのではないかという疑いが投資家たちから持たれるようになっています。
両社が上場を果たしたことで、財務状況を公開することになると、さらにビジネスモデルの問題が指摘されることになっています。
生鮮ECは、日本や他国でもクイックコマースとしてサービスが始まっています。基本的には同じ前置倉方式(ダークストア)です。つまり、中国の生鮮ECが黒字化不可能なビジネスモデルであるのなら、他国のクイックコマースも同様に黒字化が難しいということになります。
今回は、ディンドンの財務報告書を元に、黒字化が可能なビジネスモデルであるのかどうかを考えます。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 136
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▼目次▼
株価低迷の生鮮EC。問題は前置倉モデルの黒字化の可能性。財務報告書からの試算で検証する
小米物語その55
アリババ物語その55
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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株価低迷の生鮮EC。問題は前置倉モデルの黒字化の可能性。
財務報告書からの試算で検証する
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今回は、正念場を迎えている生鮮ECについてご紹介します。
生鮮ECの業界をリードしているのは、「毎日優鮮」(ミスフレッシュ)と「ディンドン買菜」の2社ですが、2022年に入ってから株価が急落をしています。毎日優鮮については、一部で「会社の解散」が報道されています。一部の倉庫で撤退が決まり、その撤退の有様が夜逃げのようであまりにもひどいことからSNSで話題となり、これが元になり、倒産、解散という憶測が流れたようです。
毎日優鮮では、このような報道を否定し、業務に一切の影響が出ていないことを強調していますが、経営が厳しい状況にあることは間違いありません。
▲毎日優鮮とディンドンの株価の推移。2022年に入ってから低迷が続いている。業績というよりも、ビジネスモデルそのものへの疑問が投げかけられるようになっている。
なぜ、危機的状況になっているのか。ほぼ1年前に「vol.081:生鮮EC「ディンドン買菜」「毎日優鮮」が米国上場へ。生鮮ECの黒字化はほんとうに可能なのか」でもご紹介しましたが、そもそも生鮮ECというビジネスモデルそのものが黒字化が可能なのかということに疑問が持たれるようになってきているからです。
この「vol.081」では、生鮮ECがどのようにして黒字化を達成しようとしているかをご紹介しましたが、今回は、生鮮ECが本当に黒字化可能なビジネスモデルなのかどうかを検証してみたいと思います。
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