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アメリカで止まらない銃犯罪 そもそもなぜアメリカは「銃社会」なのか 銃犯罪増加の背景に「人種置き換え論」とコロナ禍による社会不安
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アメリカで銃犯罪の増加に歯止めがかからない。銃を使った犯罪が増えている要因として、新型コロナウイルスの感染拡大といった社会不安などがあるいう(1)。
ニューヨークでは1月下旬、銃撃事件により警官2名が相次ぎ殉職した。
銃規制を訴えるバイデン大統領は今年2月、治安の悪化に悩むニューヨークを訪問。政権の浮揚も意識し、警察力の強化や密売ルートの撲滅などの取り組みを強調した。
大統領は2月3日、ニューヨークのアダムス市長やニューヨーク州のホークル知事らと会談。
この国では毎日316人が撃たれ、106人が殺されている。もうたくさんだ。
東京新聞、2月5日
と訴えた。
バイデン政権は同じ日、警察組織への予算の増額や、「鉄のパイプライン」とも呼ばれる銃規制の弱い、南部から東部への違法な銃の売買ルートの取り締まりの強化を発表。
非営利団体の「ガン・バイオレンス・アーカイブ」によると、アメリカの昨年の銃による死者数は、自殺と除くと2万803人。2020年から1300人も増え、コロナ渦が始まる2019年からは5000人以上も増えた。
要因としては、長引くコロナ禍による経済的不安感・先行き不安が背景にあるとみられ、治安の対策は11月に控える中間選挙でも争点となってくるだろう。
目次
・なぜアメリカは「銃社会」なのか 憲法修正第2条
・銃乱射事件を後押しする、「人種大置き換え論」
・コロナ渦の「恐怖」から銃を買い求める人も増加
・なぜアメリカは「銃社会」なのか 憲法修正第2条
「ガン・バイオレンス・アーカイブ」によると、2020年にアメリカで起きた銃の乱射事件(mass shooting)は、過去最高を記録。銃犯罪による死者は、1万9411人に達した。
ただ、アメリカ人にとっては銃の問題は、国家のアイデンティティーそのもの。戦後日本の「憲法9条」と同じような問題が横たわる。
アメリカで銃の保有禁止の議論が進まない背景によく取り沙汰されるのは、「アメリカ憲法修正第2条」の存在。そこには、「武器保有権」が規定されている。
「規律ある民兵団は自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し携帯する権利は侵してはならない。」(中岡望(2)、2021年8月21日)
と書かれてある。
「民兵団」は英語で「militia」という。独立戦争の当初、連邦軍は存在せず、州兵と民兵が主戦力であった。
民兵の別名は「ミニットマン(minute man)」で、彼らは銃を置いて畑で仕事をしながら、招集がかかると1分で結集したことから、そのニックネームがつく。
憲法修正条項では、彼らこそ「自由な国の安全にとって必要」な存在であった。それが「民兵」だけでなく、国民が武器を携帯する自由を保障されていると拡大解釈された。
・銃乱射事件を後押しする、「人種大置き換え論」
相次ぐ銃乱射事件の背後にあるものが、「人種置き換え論」という、ある種の陰謀論。人種置き換え論は、英語で「replacement theory」という。
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