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「戻り基調は継続、利上げペースをにらむ展開」Part2

江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて
【為替市場の動向】 <直近の為替市場の動向> 週末5日の為替市場では、好調だった7月の米雇用統計を受け、FRBの利上げが加速するとの見方が強まり、円売り・ドル買いが急速に進んだ。ドル円は135円前後に大きく下落した。7月の米雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比52万8000人増となり、伸びが前月から加速。市場予想も大きく上回った。 FRBは、労働需給が逼迫することで賃金が上昇し、インフレが加速する事態を懸念している。市場では「次回9月のFOMCで再び0.75%の大幅利上げをする可能性が高まった」と受け止められ、利上げペースが加速するとの見方が広がった。外為市場では、金融緩和を続ける日銀とのスタンスの違いから、日米の金利差拡大が意識され、金利収入の見込めるドルを買い、円を売る動きが強まった。ドル指数は急伸。週初から約0.6%上昇した。ドル円は週初から1.3%上昇した。 ポンドドルは下落。BOEは前日、政策金利を0.5%ポイント引き上げ1.75%とすると同時に、今年第4四半期にリセッション入りするとの予想を示した。 <RBAは50bpの利上げ> 豪州中央銀行(RBA)は2日の定例理事会で、政策金利を0.5%引き上げ1.85%にすることを決めた。利上げは4会合連続。0.5%幅の引き上げは3会合連続。物価高の抑制へ、追加利上げを行うことを示唆した。ロウ総裁は理事会終了後の声明で、「今後数カ月にわたり、金融政策の正常化に向けた過程で一段の手段を講じる」と、金融引き締めの必要性を強調した。利上げ幅や時期は経済指標、物価や労働市場の見通しにより決まると説明した。 豪州の2022年4―6月期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比6.1%上昇と、約21年ぶりの大きな伸びを記録した。物価の高騰は続いており、高インフレが落ち着く兆しは見えていない。 RBAの声明は以下の通り。 本日の会合で、キャッシュレートの目標値を50bp引き上げ1.85%とすることを決定した。為替決済残高の金利も50bp引き上げ1.75%とした。理事会は経済を安定させつつ、インフレ率を時間と共に2―3%の範囲に戻すことに高い優先順位を置いている。このバランスを達成するための道筋は狭く、世界情勢を中心とした不確実性に覆われている。 インフレ上昇による実質所得の圧迫、大半の国での金融引き締め、ロシアのウクライナ侵攻、中国の新型コロナウイルス封じ込め策などにより、世界経済の成長見通しは下方修正された。インフレ率は1990年代初頭以来の高水準となった。4―6月の総合インフレ率は前年比6.1%、基調インフレ率は4.9%だった。 インフレ上昇は主に世界的な要因によるものだが、国内要因も作用している。旺盛な需要、逼迫した労働市場、経済の一部部門における生産能力の制約から、物価上昇圧力が広く存在している。今年の洪水も一部の物価に影響を与えている。インフレ率は年内にピークを迎え、その後2─3%のレンジに向かって再び低下すると予想される。 インフレの緩やかな減速予想は、世界的な供給問題の進展、商品価格の安定、金利上昇の影響を反映している。中期的なインフレ期待は依然として適切に抑制されており、この状態を維持することが重要だ。中銀の中心的な予測では、2022年の消費者物価指数(CPI)は7.75%前後、23年は4%強、24年は3%前後となる見通しだ。 豪経済は今年も力強い成長を続け、その後は成長ペースが鈍化すると予想される。雇用は力強く増加し、個人消費は底堅く、企業投資も上向きつつある。過去最高水準にある交易条件の上昇によって国民所得も押し上げられている。中銀の中心的な予測では、22年のGDP成長率は3.25%、その後の2年間はそれぞれ1.75%だ。 労働市場はここ数年来の逼迫した状態が続いている。6月の失業率はさらに低下し3.5%と、ほぼ50年ぶりの低水準となった。求人は非常に高水準にあり、失業率は今後数カ月で一段と低下するとみられる。その後は経済成長の鈍化に伴う失業率の上昇が予想される。中銀の中心的な予測では、24年末の失業率は4%程度と考えている。企業への聞き取り調査では、企業が逼迫した労働市場で人材獲得競争を行う中、近年の低水準から賃金の伸びが加速することが引き続き示されている。 家計消費の動向は、引き続き重要な不確実性の要因だ。インフレ率の上昇と金利の上昇は家計を圧迫している。消費者信頼感も低下し、住宅価格もここ数年の大幅な上昇を経て、一部の市場では下落傾向にある。人々は仕事を見つけており、より長く働いている。多くの家計は大きな金融バッファーを築いており、貯蓄率は新型コロナ流行前よりも高い水準を維持している。理事会はこれらの様々な要因がどのようにバランスを取るかに細心の注意を払いながら、適切な金融政策の設定を見極めたいと考えている。 本日の金利引き上げは、豪州の金融情勢の正常化をさらに一歩進めるものだ。インフレ率を目標値に戻し、豪経済においてより持続可能な需給バランスを作り出す上で、ここ数カ月の利上げは必要なものだった。理事会は今後数カ月、金融情勢の正常化に向けてさらなる措置を取ると予想しているが、あらかじめ決まった道筋にあるわけではない。 将来の利上げの規模とタイミングは、入手されるデータ、インフレと労働市場の見通しに関する理事会の評価によって決まる。豪インフレ率が長期的に目標値に戻ることを確実にするために、理事会は必要なことを行うことを約束する。 <為替市場のトレード戦略の考え方> ドル円は50日線の134.85円を引け値でわずかに超えている。上昇余地もあり、上値を試す勢いが出てきた感がある。これで節目の136円を超えると、ピークからの調整基調が終わることになるだろう。今週初めはまず136円を超えるかを確認したい。上昇余地があることや日米金利差が再び意識され始めていることを考えると、上昇の可能性が高まっているといえる。 ユーロドルは大幅反落した。最近はレンジ内での上下が続いている。方向感がないが、いずれ明確な方向が出てくるだろう。目先は米金利の上昇が意識されやすい。米CPIの結果次第で大きく動くことになるだろう。まずは1.0175ドルを維持できるか、あるいは1.0375ドルを超えるかを見極めたい。ユーロ円は急伸している。100日線の137.90円を超えるかを見極める。 ポンドドルは大きく値を下げた。50日線の1.2180ドルを超えられずに下げており、基調は弱い。ることになろう。これで20日線の1.2030ドルを下回ると、基調はより明確に下向きになるだろう。ポンド円は円安で上げている。100日線の162.90円での動きになっており、これを明確に超え、さらに25日線の163.50円から50日線の164.20円を超えるかを見極める。 豪ドルは大幅反落した。0.6950ドルを再び割り込んでおり、上値も切り下がっている。基調が下向きになるリスクがある点には要注意である。0.6890ドル割れでは崩れることになろう。豪ドル円は100日線の92.75円を維持したことで、50日線の93.75円を超えるかを確認したい。また、上昇余地がある点も理解しておく。 【貴金属市場の動向】 <直近の貴金属市場の動向>

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  • 株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。 グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。 さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。 またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。
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