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佐々木俊尚の未来地図レポート 2022.8.8 Vol.716
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【今週のコンテンツ】
特集
得た情報は、カタログとして眺めるのでなく「立体視」せよ!
〜〜〜世界観を「四次元化」していくという考え方(1)
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
得た情報は、カタログとして眺めるのでなく「立体視」せよ!
〜〜〜世界観を「四次元化」していくという考え方(1)
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今年出した新著『読む力 最新スキル大全』はおかげさまで好評で、いろんな方に読まれていただいているようです。
★『脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』
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この本についてさまざまな質問や問い合わせもいただいているのですが、そのなかでも多いのは「世界観や知肉を自分のものにするため、どういう思考方法を身につければいいのかをもっと詳しく知りたい」という質問でした。
『読む力』では、ドストエフスキーの名著『罪と罰』を題材にして、次のような順番で世界観や知肉を育てていくのだということをくわしく書いています。
(1)気になるところを「メモする」
(2)メモから「概念をつかむ」3)概念を集めて「世界観をスケッチする」4)世界観から「知肉を育てる」
この思考の流れについて、本メルマガでは別のアプローチから説明することにします。
世界観は、「立体」のようなものだとイメージしてください。たくさんの記事やニュースや動画やブログが、ひとつの世界観によってつなぎ合わされて、全体として大きな立体のような空間を構成していくのです。
なぜ「立体」なのでしょうか。それは、世の中で起きるできごとの大半は、構造的なものだからです。たとえばアドルフ・ヒトラーを例に挙げて考えてみましょう。ヒトラーは二十世紀最大の極悪人と考えられていますが、もしヒトラーがいなかったら、ユダヤ人へのホロコーストや第二次世界大戦は起きなかったのでしょうか?
もちろん、起きなかった可能性もゼロではありません。しかし一方で、ドイツが当時置かれていた状況はこのようなものでした。
「第一次世界大戦に敗北して巨額の賠償金を課され、経済は破壊的な状況になり、ドイツ国民は窮乏。かろうじて成立した民主主義的なワイマール共和政は、非常に脆弱だった」
かなり悲惨な状況だったのです。そうするとヒトラーでなくても、ユダヤ人を仮想敵として国民を統合しようとしたり、大戦の敗北を乗り越えて他国に侵攻しようと考える別のだれかが現れて、政治指導者になった可能性もあります。
ヒトラーは独裁者でしたが、しょせんはひとりの個人です。政治や社会、経済などさまざまな要素が相互作用をおこす壮大な力学のなかで、ひとつの役割を果たした「駒」にすぎないのです。駒がどう動いたのかを観察するのは大事ですが、駒がすべてを支配し動かしていたわけではありません。逆にとらえれば、さまざまな力学の結果、駒が動かされ、それによって世界が変化したという言い方もできます。
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