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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』第485号2022.7.19配信

クルマの心
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□          伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』            第485号2022.7.19 配信分 ●18歳から26歳までの私は、モノ知らぬバカ者でした  メディアは基本的に信用ならない。私は自動車ライターであり、 いわゆるマスコミの一角に位置している。その意味で完全なる天唾 になるが、過去44年間のキャリアで一度も嘘がなかったと言えば、 それこそ嘘になる。  私のライター稼業は、偶然の重なりで始まっている。簡単に言う と運が良かったということになるのだが、もちろん何もしなかった 訳ではない。いつも書くように運転免許の取得は18歳の1970年。高 度経済成長のピークであり、前年は70年安保で大学はもちろん我が 県立高校にもドカヘル角帽手拭いマスク姿の全共闘風が現れた。  高校入学当初は中学時代の体格伸び悩み期が続いていて、基本帰 宅部のモラトリアム。夏休みの頃から身体中の間接が音を立てるよ うに伸び始め、入学当時購入した詰め襟はツンツルテンになった。 そこからの『サッカー小僧』ぶりは我ながら呆れるほどで、結局3 年生の3学期までグラウンドに顔を出した。  一応進学するつもりであり、受験勉強の真似事をした記憶もある。 できればセレクションで引っ掛かって……などという夢も描いたが 今考えればあの体力で運動部推薦はない。入学は千代田区神田神保 町に本拠を構える某大学法学部。まさかストレートで受かるとは当 時の職員の誰一人想像もしなかった。  だって毎年職員会議で留年の議題に挙がったらしいのだ。サッカ ーに打ち込んでいるからまぁ進級させよう、となったと聞いている。 3年になってクラブ活動を打ち切った同級生が補欠でやっとのとこ ろを普通に合格。自慢話をしているのではなくて、高校入試の時も そうだった(合否ラインぎりぎりだったが、県立高一択でセーフ) が、運だけは良かったらしい。  ただ、いざ大学に通い出すと、古くボロいキャンパスにはポスト 70年安保の無気力風が吹いていた。同年11月25日には「三島事件」 が起きた。作家の三島由紀夫がキャンパスにほど近い市ヶ谷の陸上 自衛隊駐屯地で割腹自殺を敢行。第二外国語の教員が「三島が心だ ね」と言いながら教室に入ってきた言葉が頭に残っている。  18歳。情報化社会が進んで久しい今の若者とは比べ物にならない ほど物知らずで、サッカーが出来なくなって方向性を失っていた。 体育の授業は川崎市にある生田キャンパスのグラウンドで週一回あ った。さすがに地元であり、クルマ(サニー1200クーペGX)で通 学した記憶もあった。当初は運動部の勧誘に心が動いたが、角刈り 詰め襟『押忍』の体育会気質がどうにも嫌で、悶々とした。

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  • 価値観が大きく変化しようとしている今、なすべきことは何か? このまぐまぐ!のメルマガ『クルマの心(しん)』を始めて多くのことに気づかされました。ずっとフリーランスでやって来て40年、還暦を迎えたこの段階でまだまだ学ぶことが多いですね。どうしたら自動車の明るい未来を築けるのだろうか? 悩みは尽きません。新たなCar Critic:自動車評論家のスタイルを模索しようと思っています。よろしくお付き合い下さい。
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