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第178号 宇宙のUber Eats/光子力から女子力へ/秋めく/植物あれこれ

きっこのメルマガ
  • 2022/08/10
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「宇宙のUber Eats」 8月4日、NASAの火星プロジェクトチームから、あたしのメールボックスにニュースレターが届きました。前にも何度か書きましたが、今、火星で活躍しているNASAの探査ローバー「パーセヴェランス」には、母さんとあたしの名前が刻まれたマイクロチップが搭載されているのです。 とは言っても、マイクロチップには世界各国から応募があった1093万2295人の名前がすべて刻まれており、このうち3万1920人が日本人で、そのうちの2人が母さんとあたし‥‥というわけですが、この1000万人以上の人たち全員に、定期的にニュースレターが届くのです。 今回のレターのトップニュースは「How NASA Would Bring Mars Rocks Back to Earth (NASAが火星の岩石サンプルを地球に持ち帰る方法)」というもので、次のように解説されていました。 「これはSFではなく現実の話です。火星サンプルリターンプログラムに関するNASAの新たな計画では、パーセヴェランスが収集したサンプルを回収するために、2台のヘリコプターを追加することになりました。」 2020年7月30日に打ち上げられたパーセヴェランスは、約半年後の2021年2月18日、目標の火星のジェゼロクレーターに到着しました。直径約50キロのジェゼロクレーターは、約39億年前に隕石が衝突して誕生したものですが、当時の火星は水が豊富で川も流れていたので、長い年月を掛けてクレーターに水が溜まり、約35億年前には琵琶湖よりひと回り小さいくらいの巨大湖になりました。 もちろん、現在は水が干上がっていますが、ジェゼロクレーターには湖だった時代に川が流れ込むことで形成された三角州の跡が、西側と北側に2つあります。そして、湖の水は東側の渓谷へ流れ出ていました。つまり、湖の水は常に補給され続けていて、生命にとって良い環境だったと推測できるのです。何でもない地表の岩を採取するよりも、かつて湖だった場所の岩を採取したほうが、生命の痕跡に辿り着ける可能性は遥かに高いので、パーセヴェランスは、このジェゼロクレーターでサンプルを採取して来ました。 これまでに採取した岩などのサンプルは、チタン製の気密サンプルチューブに封入され、取りあえずパーセヴェランスのお腹の収納ボックスに入れられています。でも、いくら貴重なサンプルを採取しても、地球まで運ぶことができなければエンゼルスの大谷翔平、つまり「宝の持ち腐れ」です。しかし、運搬力の低いパーセヴェランスでは、30本を超えるサンプルチューブを一度に運ぶことができません。 そこで登場するのが、NASAと共同でミッションを進めているESA(欧州宇宙機関)の「サンプル回収ローバー」なのです。ESAが開発している「サンプル回収ローバー」は、最大で36個までサンプルチューブを運ぶことができるのです。 ミッションの流れとしては、まず、NASAのパーセヴェランスが、採取したサンプルを封入した複数本の気密サンプルチューブを、お腹から出して地表に置きます。それをESAのサンプル回収ローバーが回収し、NASAの火星着陸プラットフォームまで運び、専用の大型カプセルに収納します。NASAの火星着陸プラットフォームは、そのカプセルを火星の軌道上へ打ち上げます。 そうすると、カプセルは火星の軌道上をグルグルと回りますよね。それを今度は、ESAの火星周回軌道上の探査機がキャッチして、地球の大気圏に突入しても燃えない「再突入用容器」の中にカプセルを入れ、火星が地球に最も近づいたタイミングで、地球に向けて発射する‥‥というのが、これまでの計画でした。 しかし、新たに大型のサンプル回収ローバーを火星に送り込むためには、ミッションすべてで70億ドル(約9500億円)という莫大な予算が掛かる上に、着陸のリスクなど失敗する可能性も高かったのです。そこで、NASAとESAは、もっと成功率が高く、もっと予算の掛からない方法はないかと、模索して来ました。そして、この度、パーセヴェランスが搭載していた小型ヘリコプター「インジェニュイティー」が、ここに活路をひらいたのです。

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