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【Vol.443】冷泉彰彦のプリンストン通信『8月15日に考える』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「権力の空白について」 権力の空白という問題に関しては、現代においても様々な形で 見られるように思います。  ここまでの議論で扱った天皇の問題ということもありますが、その他にも 官僚制の問題は、戦後77年その位置付けは全く変わっていません。  それはともかく、現代においては、統治ということ、あるいは行政という ことが機能しなくなってきている、そんなケースが多く見られるように思い ます。  1つは新型コロナへの対応です。この2年半に、何度も大きな「波」を経 験しており、その度に「医療従事者が足りない」「通常診療ができない」 「自宅療養での急速な憎悪のケースが救命できない」といった問題を繰り返 している訳です。  様々な現場のルールを柔軟化すること、それ以前に全国統一の簡素で強力 なオンラインシステムで、患者とサービスをマッチングすること、ワクチン 副反応時の休養を義務付けそのコストを国費で負担することなど、2年半も あればいくらでも出来たはずです。ですが、政府は対応ができなかったし、 しなかった訳です。  しかも野党は、一時期「ゼロコロナ」とか「サービス業は完全休業して補 償」「完全鎖国」といった無謀な主張をしていたかと思うと、現在の状況に 対しては有効な代案の提案ができていません。では、厚労省はどうかという と、緊急性のある変更については、対応が極めて遅い訳です。  例えばですが、厚労相に加藤勝信氏という人事については、コロナ初期に 厚労省として「あまりにも組織防衛的で内容空疎」な答弁しかできない姿勢 が、全く機能しなかったのが記憶に新しいところですが、今回も同じ方法論 で時間稼ぎをするつもりなのか、とにかく政治にも官僚機構にも統治の意欲 というものが感じられないのです。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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