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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 138
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、Copy to ChinaとCopy from Chinaについてご紹介します。
中国は、さまざまな人から「パクリ大国」と揶揄をされます。今になってもまだそんな見方をしている人はどうかしていると思いますが、10年前は確かにそう言われても仕方のない面がありました。
しかし、他国のビジネスを模倣し、オリジナルが参入してくる前に、国内市場を確保してしまうというのはタイムマシンモデルと呼ばれ、日本も高度成長時代の初期には散々やってきたことです。
BATと呼ばれる百度はグーグルを模倣し、アリババはeBayを模倣し、テンセントはICQを模倣することからスタートをしています。
しかし、今では中国で新しいテックビジネスが生まれるようになり、海外がそれを模倣し、タイムマシンモデルを始めるようになっています。このメルマガの読者のみなさんには具体例を挙げるまでもないと思いますが、シェアリング自転車、フードデリバリー、新小売スーパー、クイックコマース、ライブコマース、ショートムービー、種草経済などは中国がオリジナルと言っていいのではないでしょうか。Copy to Chinaの時代からCopy from Chinaの時代に入っています。
しかし、今回は、さらに次の時代に進もうとしているというお話をご紹介したいと思います。それは米国と中国を行き来をして、両方の文化を知っている華人、華僑の存在です。米国で起業されるスタートアップ企業の共同創業者の名前を見ると、中国人やインド人の名前を見かけることはもはや珍しくなくなっています。
このようなバイカルチャラル(2つの文化圏に同時に属している)人材が、次のビジネスを生み出し、最も成功確率の高い国でビジネスをスタートさせるようになっています。
今回は、このような中国と米国を股にかけ、起業をした人たちのストーリーをご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 138
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▼目次▼
Copy to China or Copy from China。新たなビジネスを発想するバイカルチャラル人材とは何か?
小米物語その57
アリババ物語その57
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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Copy to China or Copy from China。
新たなビジネスを発想するバイカルチャラル人材とは何か?
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今回は、Copy to ChinaとCopy from Chinaについてご紹介します。
Copy to Chinaとは「コピーして中国に」という意味です。80年代から始まった中国の改革開放は、さまざまな技術、ビジネスモデルを海外からコピーすることで始まりました。これはかつての日本でもそうであったように、どの国の発展過程でも最初はコピーすることから始まります。ちょうど、ギターを始めた中学生が著名な曲の完コピを目指すのと同じです。
しかし、もはや中国はCopy to Chinaではなくなり、独自に新たな技術開発、ビジネスモデルの構築ができる国になっています。と言っても、まったくコピーがなくなっているというわけではありません。なぜなら、いかに斬新なビジネスであっても、そのビジネスが今までまったく存在しなかった100%オリジナルということはあり得ず、既存のビジネスモデルにヒントを得て、課題点を解決するなどして新しいビジネスモデルが生まれてくるからです。
例えば、世界で最初のECサイトがどこであるかはもはやわからなくなっていますが、最も成功をしたのは、オンライン書店からスタートしたアマゾンであることは疑いはありません。アマゾンは玩具や家電などにも取り扱いを広げ、総合ECとして世界中で利用されています。
では、アマゾンはそれまで誰も考えつくことのないビジネスだったのでしょうか。そうではありません。米国人であれば、シアーズ・ローバックのメールオーダーという先行事例を誰もが知っています。カタログを見て、郵便で注文をすると、商品が宅配されてくるというカタログ通販です。
サービスの開始は1893年で、130年前のことです。NHKでも放映され人気となったテレビドラマ「大草原の小さな家」は、まさしくシアーズのメールオーダーが始まった西部開拓時代にあたり(原作では少し時期がずれています)、劇中にメールオーダーの話が出てきます。子どもたちが近所のお手伝いをしてお小遣いを稼ぎ、駅前の雑貨屋でカタログを見ながら、クリスマスプレゼントを探すというシーンです。その様子は、今の子どもたちが、アマゾンで玩具を探している様子とそっくりです。
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