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第44回:議連の後押しを得て、政策を実現する ‐議連設立のきっかけ、民間サイドの関わり方‐

政策人材のための教科書 ~現場の声を政策につなげるために~
  • 2022/08/19
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1.政策実現のファストトラック、議連 政策が動くきっかけにはいろいろありますが、その一つが議連です。2022年には厚労省で、大麻に関する規制を議論する会議(以下「大麻小委」)で大麻の産業化に向けた議論が行われ、もうすぐとりまとめがされようとしています。この大麻小委の中で、大麻由来ではありつつ、規制の対象となっていない成分であるCBDの利活用やCBD製品の市場拡大についても取り上げられました。 大麻の利活用についての議論が国の会議で行われるということに、隔世の感を覚えますが、このテーマが取り上げられた背景には、議員連盟(議連)の活動がありました。 「カンナビジオールの活用を考える議員連盟」は自民や立憲民主党などの国会議員が参加し、CBD製品の利活用に向けた課題を中心に議論を進めていた議連です。 この議連は2021年6月に設立。事業者などからのヒアリングを経て、2022年5月に厚労省にCBD製品の活用に向けた提言書を手渡しました。 その後、政府は2022年6月の骨太の方針に、「大麻に関する制度を見直し、大麻由来医薬品の利用等に向けた必要な環境整備を進める。」ことを表明しました。 2022年には厚労省の大麻小委で医薬品だけでなく、サプリメントとしてのCBD製品の活用に向けた議論が進められ、違法成分の残留値の設定を行うなど、安心してCBD製品を消費者が購入できる方向性で議論が進められています。 政府の審議会で議論する内容は、官僚が基本的な骨格を考えますが、検討テーマの設定の際には、国内外情勢や利害関係者の主張なども考慮して決めるのが通常です。官僚の上司は政府内の大臣である政治家なので、政府内の職務を得ていない政治家は厳密には上司ではありませんが、その意思は尊重する傾向があります。行政に与えられる権限というのは国会が決めた法律の範囲内に限定されますし、政府の法案や予算を国会で審議してもらうには、与党議員の了解を得ることが必須(事前審査)なので、できるだけ与党議員とは良好な関係を築いておきたいというのが官僚の心情です。 CBD製品の具体的な議論が加速した背景には、CBD製品の市場規模の急拡大やCBD含有医薬品の利用が現実化しそう、という時代の要請もさることながら、議連の提言があったことも少なからず関係しているでしょう。 この事例以外にも、議連がきっかけとなって政策が前に進んだ事例はたくさんあります。民間サイドの皆さんが政策を変えたい、と思うときに味方となってくれればこれほど心強いものはありません。 2.議連とはどんなことをしているのか 議連というと、ざっくりいうと同じような課題に関心を持つ政治家のグループのことをいいます。必ずしも同じ党の議員と結成する必要もありません。 与党や野党の正式な組織としてではなく、議員個人の判断で参加する党の外に位置する組織です。自民党の議員だけの集まりだと「自民党〇〇議連」、自民党・公明党の議員の集まりだと「与党〇〇議連」、与野党が混ざっていると「超党派の議連」と呼ばれたりします。

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