■「ほっ活」ステップ
なんとなく心地よかったり、なごんだり、ホッとしたりした時、
「ほっこり」という言葉がふと口に出ることがある。それは、医学
的にも最高の状態だ。
「ほっこりする」と感じる時こそ、人間にとって大切な体と心の状
態であり、幸せの源泉なのだ。その時、体には良いエネルギーが満
ちあふれているのだ。
楽しく幸せな気持ちになる「ほっこり」を感じる活動は色々あるも
のだ。それを一言で言えば「ほっ活」だ。頭を空っぽにし、五感を
取り戻し、心を解き放つ小さな活動の総称だ。
これは、一時的にやってみて、その時だけ気持ちがよくなるといっ
た、いわゆる気晴らしではない。積み重ねることで、常に「ほっこ
り」した状態を保てるようになる。
やがて、たくましさ、レジリエンスといったものまで出てくるよう
になる。そうなれば地に足がついてくる。いつも「ほっこり」して、
体の声を聴き、心地よいと感じることに心をゆだねるべきなのだ。
★
動物たちは、自分の行動を言葉で理解しているわけではない。流れ
るように行動して生きている。人間にも、体で感じたことが素直に
脳に伝わって、自然に体がうまく動くシステムが備わっている。
体は、常に「よくなろう」「良い状態を続けよう」として呼吸をし、
血液が流れ、消化をし、排せつをしている。まず、ザワザワする心、
考えすぎる脳は休めて、静かに体の声を聴くべきだ。
体に良いことをしている時、人は快感や幸せを感じるようにできて
いるのだ。だから「ほっ活」を繰り返せば、どんどん元気にハッピ
ーになることができるのだ。
★
まず、頭を空っぽにすることだ。人間の体は、原始時代からそれほ
ど変わってはいない。ところが、情報の質量は日々急激に大きくな
っている。脳はキャパシティーオーバーになってしまっている。
ストレスが多くなるほど、脳は疲れ、老廃物が多くなる。血圧は上
がり、血管も通りにくくなり、リンパの流れが悪くなる。大量にた
まった老廃物は、どんどん脳に置き去りにされていく。
その結果、認知症なども起こりやすくなる。だから「ほっこり」の
第一歩は、疲れた脳を休めてあげることだ。頭にたまった老廃物を
取り除き「からっぽ」にすることから始めるのだ。
睡眠中の脳の仕事は「掃除・整理整とん」だ。寝ている間、脳内で
はリンパが流れ、脳に溜まった老廃物をどんどん脳から運び出して
いる。つまり、不要なものを流すデトックスをしているのだ。
「頭を空っぽにしてしまう」ということは、入ってくる情報をいっ
たん留めて、睡眠時に近い状態にすることだ。よく言う「無心にな
る」というのはそれに近いことをやっているわけだ。
★
「ぼんやり」という状態が「無心」に近い。「ぼんやり」には、睡
眠に似た効果がある。たとえば、ローカル線に乗って車窓の風景を
ぼんやり眺める時は無心になっているはずだ。
風景をぼんやり眺め、全身を電車の動きにゆだねる。脳の神経活動
を同期させる。これが無心に近い感覚だ。汽車は一定のリズムで音
と振動が伝わり、体が揺れる。これがいいのだ。
電車に乗ると眠くなるという人が多い。それは脳がリラックスして
いるからだ。すなわち「ほっこり」しているのだ。これはとても良
い状態だ。
ダンスを踊ったり、歌を歌ったりすることが健康にいいと言われる
のも同じ理由だ。いい音楽を聴くと眠くなる。体のリズムに乗るこ
とは体によく、人にとって大事な営みなのだ。
体は勝手に「生きよう」とリズムを刻んでいる。細胞や臓器には、
時計遺伝子が備わっている。それらがうまく同期した時、人は調子
よく生きられる。そのリズムに従って生きるべきなのだ。
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