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アニサキスによる食中毒が増加 クジラのせい? 冷凍技術の発達? 地球温暖化? 問われる日本の”生食”文化
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アニサキスによる食中毒「アニサキス症」が増えている。昨年1年間に厚生労働省に報告されたアニサキス症は344件で、食中毒による発生件数としては、カンピロバクタ―やノロウイルスを超え、1位となった(1)。
また、診療報酬明細書のデータをもとに国立感染症研究所が試算したところ、年間に7000人以上がアニサキス症になっていると推計されている。
アニサキスはサバやアジなどに寄生。長さは2、3センチほどで体は角皮という丈夫な膜で覆われている。
これが生きたまま人間の体内に入ると、胃や腸などに刺さり、激しい痛みや嘔吐をまねく。その症状が、「アニサキス症」と呼ばれる食中毒だ。
国立感染症研究所の杉山客員研究員は、
「激しい症状を引き起こすのは劇症型と呼ばれるものです。ただ、中には無症状の人もいるんです。アニサキスが内臓に刺さっていても気づかずに、人間ドックで偶然見つかるケースもあります。
こうしたことからアニサキス症は、刺さったことの痛みだけで生ずるのではなく、アレルギー反応もあるのではないかと言われるようになっています。」(瀬古久美子、2022年6月24日)
と指摘。
ただ、世界で発生するアニサキス症の95%が日本で起きているともいわれ(2)、日本の"生食文化"が問われている。
目次
クジラが増えたから? 結局、クジラ利権を守りたいだけでは?
冷凍技術の発達 地球温暖化も要因か
問われる日本の”生食"文化 回転寿司はアニサキス以外にも食品衛生的に問題との研究が
クジラが増えたから? 結局、クジラ利権を守りたいだけでは?
アニサキスによる食中毒は増えた理由には「クジラが増えたから」という説がある。熊本大学の産業ナノマテリアル研究所・浪平隆男准教授は、
「クジラの数が圧倒的に増えている」としたうえで、これがアニサキスの数が増えている要因ではないかと分析。
要は、まずクジラの餌となる魚がアニサキスを食べ、その魚の体内でアニサキスが幼虫となる。その魚をクジラが餌として捕食。
アニサキスはクジラの体内で卵を産み、クジラから排出された卵を、また魚が食べるという連鎖が起きていう。
ただ、そう結論づけるのはまだ早計だ。クジラが増えているのは事実であるものの、寿命が魚より長いクジラの生態を考えると、潮の流れや魚群の移動のほうか大きく関係している(3)。
そもそも、日本における捕鯨の文化が伝統なものでも何でもない。日本が南極に捕鯨船を初めて派遣したのは1930年代半ばだが、第2次世界大戦が終わるまで大規模な捕鯨は行われていなかった(4)。
冷凍技術の発達 地球温暖化も要因か
アニサキス症が増えている要因として、そもそも「アニサキス症」が存在が広く知られるようになったこと、さらに輸送技術の発達が関係しているという(5)。
本来、アニサキスは冷凍すると死ぬため、魚を冷凍していれば問題は発生しない。
ところが、輸送技術が発達して、魚を”生”の状態で輸送できるようになったことで、アニサキスも生きたままの状態で、魚と運ばれるようになった。
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