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小松成美の伝え方の教科書 vol.32「ひとつの映画が繋いだ、感動のストーリー ~ストーリーこそが人を魅了する~」

小松成美の伝え方の教科書-ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術
「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」 vol.32「ひとつの映画が繋いだ、感動のストーリー 〜ストーリーこそが人を魅了する〜」 【今週の目次】 ============== 1.成美のつぶやき └納涼歌舞伎の魅力 └中村勘三郎の起こしたイノベーション └2部制を3部制にした理由とは? └ジャニーズのコンサートのように歌舞伎を楽しんでほしい └「型」があるから「型破り」ができる 2. ひとつの映画が繋いだ、感動のストーリー 〜ストーリーこそが人を魅了する〜 └世界を虜にした映画「フィールド・オブ・ドリームス」 └ 小松成美が感じたメッセージの強さ └ 世界が魅了されるストーリーとは? └信じた人にしか見えない選手!? └イチロー選手も影響を受けた「フィールド・オブ・ドリームス」 └ハリウッド俳優ケビン・コスナーが語る映画への想い └イチロー選手が好きで書かれた「つづき」 3.小松成美のオススメの〇〇!! 4.小松成美の質問コーナー 5.お知らせ ============== 1. 成美のつぶやき 夏が終わろうとしています。 まだまだ残暑が厳しいですが、いかがお過ごしですか。 8月の楽しみといえば、歌舞伎座の納涼歌舞伎でした。間もなく千秋楽を迎えますが、大好きな納涼歌舞伎についてお話しします。 納涼歌舞伎の魅力 本来は昼と夜公演だけの歌舞伎座の歌舞伎興行ですが、8月だけは特別に3部制になり、歌舞伎を盛り立てる催しになっているのです。若い役者が主役を演じたり、古典だけではなく新しい作品を上演したりと、1年で最も華やかでチャレンジングな公演なのです。 毎年、若い役者がこの納涼歌舞伎で実力をつけて飛び立っていくので、今年はどんな芝居がかかるのか、どんな役者が演じるのか、歌舞伎ファンはいつも夏のこの公演を楽しみにしています。 今年もまた、面白い演目が上演されました。手塚治虫の漫画『新撰組』を原作にしたお芝居や、古典にある江戸時代の滑稽な旅をスリリングなコメディに仕立て上げた『弥次喜多流難譚』など、「さすが、納涼歌舞伎だなぁ」と嬉しくなりました。 しかし、その八月歌舞伎もコロナに翻弄されました。 第1部の『新選組』では主役を務める中村福之助と中村歌之助が感染し、その代役を、2人の伯父である中村七之助と中村勘九郎が務めることになり、そのお芝居が大評判となっています。 また、第2部「浮世風呂」と第3部「弥次喜多流難譚」に出演している市川團子(俳優・香川照之さんの長男です)が新型コロナウイルスに感染したと発表され、休演しました。 芝居が休演になる日もあり、役者たちも歌舞伎ファンも、右往左往させられましたが、そうした危機・苦しい状況を乗り越え、納涼歌舞伎は熱気に包まれています。 私自身は、8月がやってくると、1人の歌舞伎役者を思い出さずにはいられません。納涼歌舞伎をスタートさせ夏の恒例行事として育て上げた勘三郎さんのことです。 この納涼歌舞伎は勘三郎さんが発案し、興業主の松竹に自ら掛け合って実現させたものなのです。 中村勘三郎の起こしたイノベーション 十八代目中村勘三郎を知らない人はいないでしょう。 残念ながら2011年に57歳の若さで亡くなってしまいました。気が付けば、あっという間に10年以上も月日が過ぎてしまいましたが、勘三郎さんの納涼歌舞伎にかける思い、その言葉を何度も取材で聞いていたので、今もその心意気を思い出しています。 歌舞伎は私にとって大切な主題です。勘三郎さんの本は、『さらば勘九郎』『勘三郎荒ぶる』を書きました。 中村勘三郎さん(当時は勘九郎さん)に初めて会ったのは、1999年の12月です。2000年の新年の朝日新聞に掲載するインタビューでした。それ以後、亡くなるまで12年間、最も近い場所で取材させていただいたのです。 勘三郎さんが歌舞伎界に巻き起こした大きな波は、今や現代の歌舞伎の潮流ともなっています。挑戦の足跡はいくつもあるのですが、その中の一つがこの納涼歌舞伎で、勘三郎さんにとってもいいきな転機の場でもあり、いつも熱いコメントを私に伝えてくれていました。 1990年8月、納涼歌舞伎はスタートしました。 それまで「8月には切符が売れない」とされ、歌舞伎が上演されないこともありました。なんと、歌舞伎座で歌謡ショーなどが行われていたのだそうです。 「歌舞伎役者のいない歌舞伎座なんて、こんなに悲しいことはないよね」 勘三郎さんは、あの頃は悔しくて仕方がなかった。と当時を振り返っていました。 「20代の頃は、なかなか役がつかなくて、舞台に立つことも難しかった。今のようにたくさんの劇場で歌舞伎が上演されていたわけじゃない方、芝居を演じたくても、なかなか叶わなかったんだよ」 今では一般の劇場でもどんどん歌舞伎が観られるようになりましたが、当時は主要都市にある歌舞伎の劇場でのみ上演されることがほとんどでした。

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  • これまでノンフィクション作家として、たくさんのトップアスリートやトップ経営者の唯一無二の「人生」を取材してきました。その経験をもとに、書籍だけでは書ききれなかった小松成美流のコミュニケーション方法や独自哲学を伝えていきたいと思います。経営に、スポーツに、文化に。多岐に渡って、学びあるコラムを配信して参ります。誰もが発信者となる時代に、是非ご参加ください。
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