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オミクロン株のPandemic

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室155.2022.8.28. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** オミクロン株のPandemic 昨年夏、デルタ株がpandemicをきたしたときは戦慄が走りました。次々と重症肺炎を来し、人工呼吸器管理せざるを得ない患者さんが続出したからです。重症化率の高い恐ろしいウイルスではありましたが、このことは我々病院勤務医が入院を必要とする患者さんのみを診察していることにもよると思います。そもそも病院に入院が必要な時点で、重症の患者さんが選択されているからです。実際に某保健所所長からは“病院勤務医は重症患者さんばかり見ているからそのように考えるが、自宅待機している患者さんの多くは通常の風邪と変わらず、それほど重症化していない。”と聞きました。しかし、通常のインフルエンザなどよりは命に関わる感染症であった事は事実です。 このオミクロン株はどうでしょうか。デルタ株以上にpandemicをきたしていますが、我々の病院でも重症化して呼吸器管理が必要であった患者さんはほとんどいないのが現状です。何度も述べていますが、ウイルスは進化の過程で弱毒化し、伝播力が強くなります。昔に比べると弱毒化して、伝播力が強くなったのが現在のオミクロン株であると言えると思います。 今、医療現場で1番困っていることは、次々と重症者が出ていることではありません。医療従事者が次々と感染し、在宅待機の期間が長すぎて勤務する医療従事者が少なくなっていることです。例えば松阪市は人口約15万人程度ですが、2週間で5,000人程度の感染者が発生しています。一旦感染すると、今の制度のままでは10日間は勤務できなくなるので、30人に1人は勤務できていない人がいることになります。 30人に1人というと、大したことではないように聞こえますが、そんなことはありません。この30人に1人は均等に30人に1人というわけではなく、1カ所に固まって集中して勤務できない人が発生するわけです。したがって、ある部署では全く感染者がいなくても、とある部署では固まって3分の1程度のスタッフに同時に発生することもあり得ます。そうなれば機能を止めざるを得ず、病院の機能1カ所を止めてしまうと全体につながってくるので、すべての診療に影響が出て、病院機能が損なわれてしまいます。通常診療ができなくなってしまいます。半導体がないと自動車が作れない事と同じです。 ではどうすれば良いのでしょうか。これだけ感染者が広がってしまうと、完璧な感染対策はできようがありません。ある程度のリスクは承知のうえで、在宅待機時間を少なくしていくしかないような気がします。しかし感染管理のみ生業にする側からは、頑なに従来通りの感染管理で押し通そうとしているのです。この問題を解決するためには、国がそれぞれの自治体や団体に任せるわけではなく“解熱して回復した医療従事者は勤務しても良い”というメッセージをはっきりと出すことが不可欠です。ワクチン接種者に関しては、解熱後72時間程度で、ほとんど感染能力は失われると言われています。そんな中で10日間勤務停止すると一般医療を維持することができなくなってしまうのです。 欧米では、あまりCOVID-19を気にしなくなっています。何もそこまでせよ、とは言いません。現在の都会では、濃厚接触者が多すぎて、なし崩し的に何も考えられなくなっているのが現状です。感染者に対してもどのように対応していくのかしっかりと考え、日本国としてメッセージを出していく時期に差しかかっていると思います。 ***************************** ドクター畑地の診察室155.2022.8.28号 毎週日曜日お昼に配信します。 次号は2022.9.4.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください。 ◆2022年07月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2022/07 2022/07/31 弱小病院が研修医2桁フルマッチを目指す その1 2022/07/24 みえ松阪マラソン応援隊 2022/07/17 安倍さん 2022/07/10 この30年で治療が進歩した病気、そうでない病気 2022/07/03 早朝ウォーキング

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