NYダウ 32283ー1008(ー3.03%)NASDAQ12141ー497(ー3.94%)
26日のアメリカ市場は下げた。全く戻りのない大陰線でダウは1000ドル安。6月以来では最大の下げ幅になる。4%近いナスダックの下げ率も久々に見たね。クラッシュとは言わないがみんなが下げに警戒していた中での下げでかなりショックだろう。
注目のジャクソンホール演説(去年に比べるととても短い10分弱)でパウエルは
◯利上げはインフレが終わるまで続ける。(やり遂げるまでやり続ける必要がある)
◯利上げは家計や企業に失業など幾らかの痛みをもたらす。これはインフレ抑制のためのコストだ。(経済にダメージを与えてでもインフレを抑制する意思がある)
◯7月の物価抑制傾向(PCEの結果・0.1%低下を指す)は好ましいが1ヶ月の指標だけをみて判断を変えることはない。確信するには程遠い。(来年早期の利上げ打ち止めの可能性は極めて低くなり来年初めに3.75%から4%超程度へのFFレートの金利上昇の確率が高くなった)
◯金利が「中立的な」位置で一時停止または停止することは適切ではない(これも予想よりターミナルレート=最終的な政策金利が高くなることを示す発言。中立水準ではなく景気を減速させる水準まで金利を上げるのが適切だと)
◯歴史の記録はに見て中央銀行が時期尚早に政策を緩和することに強い警告を発している。
◯9月のFOMCの利上げ幅は今後のデータを見て(0.75か0.5か)決める。
最初マーケットは「まあ教科書通りのことを言ってるのかな」と受け止めてそれほど下げる動きはなかった。しかし全体を通してみれば「おやこれはちょっと様子がおかしいぞ」と気がついた。完全に早期の利上げ収束や20(23年中の利下げ転換はあり得ないよって言うパウエルの直接的なメッセージだと解釈した。インフレを放置する痛みに比べれば利上げに伴う痛みは軽いのだから感受してくれと言うメッセージだと。さらに「長期的な利上げ継続、ターミナルレートまで上がった後もそれが継続する可能性」が何を意味するかを。
結果的に「予想以上にパウエルのインフレ抑制・タカ派姿勢は強く、ハト派的な政策転換(来年早々にも金利上げを止めて金利低下姿勢に向かうかも)はかなり期待薄。なおかつ現在の金融政策の継続で景気後退もありうる」と市場は判断。あらかじめ「タカ派姿勢を示すかもしれない」という警戒感があったにも関わらず、それでも金利が上昇し株価が大きく下げる結果になった。株価の下げ幅が拡大するにつれて手仕舞い売りを誘発。アメリカ人楽観的だから下がったら買うんだよね、も完全に不発だった。
個人的には「1ヶ月の指標をみただけではインフレ抑制と確信するには程遠い」、と言う発言は1回2回物価抑制データが出ても金利政策は変わらないんだな、って言う判断がなされるのと、「中立的な位置で金利を止めるのは適切ではない」と言う発言でターミナルレートは4%に載せてくるんだろうな、という判断がされること。さらにそれらの発言からすると冒頭のRates will rise until 'job is done' bringing down inflation.が相当強い意味を持ってくる。上げ切った後もそれを簡単には下げないよ、と。
経済史に残る講演だったのかもしれない。
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